
Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、ADDAC SystemのADDAC802 VCA Quintetの紹介/解説記事になります。
ADDAC802 VCA Quintetは、アナログVCAとミキサー機能を一体化した5チャンネルモジュールで、各チャンネルにAttenuator(アッテネーター)付きCV入力と3.5mm出力を搭載。プリ/ポストVCA、ソロ、ミックス、マスターといった多彩な出力に対応し、linear(リニア)/exponential(エクスポネンシャル)の応答特性切替も備えています。モードスイッチにより、各チャンネルの動作を即座にアナログ的に切替できる操作性も特徴です。
本商品は以下よりご購入頂けます。
商品写真




多機能な5チャンネル構成
ADDAC802 VCA Quintetは、5系統のアナログVCAに加え、各チャンネルから独立して信号を出力できる3.5mmジャック、CV制御入力、Attenuator(アッテネーター)を備えた高機能なモジュールです。各チャンネルは、個別のゲイン調整とCV変調が可能であり、信号の合成・制御における柔軟性を大きく拡張します。
このモジュールは、VCAとしての用途に加え、5イン/1アウトのミキサーとしても機能。チャンネルごとの出力は個別に扱えるほか、全体をまとめたマスター出力も備えており、必要に応じてプリVCA/ポストVCAでの出力選択が可能です。
応答特性とモード切替
各チャンネルには、信号の変化に対する応答特性を切り替えるスイッチが搭載されており、linear(リニア)とexponential(エクスポネンシャル)のいずれかを選択可能。これにより、音量変化のスムーズさやダイナミクスの印象を、ソースや演奏スタイルに応じて最適化できます。
さらに、各チャンネルにはミックス/ミュート/ソロの3モードスイッチが用意されており、リアルタイムの操作性が求められるライブパフォーマンスや、信号構成を頻繁に切り替える制作作業において、直感的な操作が可能です。
多彩な出力系統
本機には以下の出力系統が用意されています:
- チャンネル別アウト:各VCAから直接出力される3.5mmジャック
- マスターアウト:5チャンネルのミックスを1つにまとめて出力
- プリVCA/ポストVCAアウト:CV制御の前後 で出力を分岐可能
- ソロアウト:ソロモードに設定したチャンネルのみを出力
これにより、通常のレベル調整だけでなく、信号の抽出・再ルーティングといった高度な使い方も柔軟に構築できます。
システム拡張性と設計意図
ADDAC802は、外部入力を備えており、複数の同型モジュールをデイジーチェーン接続することで、システム全体のミックスチャンネル数を拡張可能です。これにより、ユーロラック内で完結した多チャンネルミキサーとしての運用も視野に入れた設計がなされています。
また、操作インターフェースも直感的に設計されており、大型ノブとインジケーターにより、設定状態を一目で把握可能。スタジオ環境だけでなく、視認性が重視されるライブ現場でも安定したパフォーマンスが期待できます。
ADDAC802 VCA Quintetは、アナログの質感を保ちつつ、柔軟な信号処理と出力管理を可能にするユーロラックモジュールです。VCA、ミキサー、ルーターとしての機能を一台に統合し、拡張性にも優れた構成。制作にもパフォーマンスにも対応できる、実用 性の高いプロフェッショナルな設計です。
Takazudo的所感
私TakazudoはこのADDAC802を、入荷前から所持しており、大体いつもドラム類を鳴らすときに使っています。このモジュールのポイントとしては、前述した内容とも重複しますが、以下2つが大きいと感じています。
- アナログVCAの質感
- 多彩なルーティング
まず1つ目、アナログVCAの質感。こういったVCAを使うとき、音をデカくすると音が割れます。ですが、その割れる塩梅がアナログの回路だと結構良い感じになるという側面があります。これはデジタルなICを使っている場合には再現しづらい特徴でして、この件については過去に以下コラムで触れたことがありました。
ADDAC Systemのミキサー系モジュールはいずれも似た特徴があるのですが、このミキサーで音を大きくすると、結構いい塩梅で割れた質感が得られます。これがこのミキサーの嬉しいポイント1つ目です。
2つ目はルーティングが柔軟であることです。まず各チャンネルはそれぞれ個別の出力を 持っています。これにより、個別にVCAとして使用することが可能です。つまり5つVCAがあるということですね。
そして、この5チャンネルをミックスした結果を出力することが可能なのですが、これとは別にソロ出力が用意されています。各チャンネルをソロにすることでメインのミックスからは除外されます。つまりは5チャンネルそれぞれについて、ソロで統合する/全体のミックスで統合するのかを選べるようになっており、これが柔軟なルーティングを実現しています。
自分の場合はAD110 Analog Drumsと合わせて使うことが多いのですが、クローズハイハット/オープンハイハットを1ch、2chに入れてソロ出力にし、ミックスした結果を別のミキサーに入れてPanを振るみたいなことをしています。
一つ気をつけないといけない点は、写真を見てもらっても分かる通り、奥行きがかなりあるという点です。なので浅いケースには入りません。ですがこれはつまるところ、5つのアナログVCAをしっかり一つずつ搭載しているということで、デジタルのミキサーモジュールではなかなか出せないアナログな質感のVCAを求めている方にオススメしたいモジュールです。小回りのきくVCA+ミキサーとして活躍すること間違いなしです。
参考動画
以下はADDAC Systemの公式チャンネルにて公開されている、ADDAC802 VCA Quintetの紹介動画です。
技術仕様
- 幅: 12HP
- 深さ: 55mm
- 消費電力: 190mA +12V / 150mA -12V / 0mA +5V
ADDAC Systemについて
ADDAC Systemはポルトガルのモジュラーシンセメーカーです。
アナログ良さを生かした、ベーシックな機能をしっかり形にしているモジュールラインナップを基本としつつも、CVをMIDIに柔軟にコンバートしたり、高度にコントロール可能なグラニュラープロセッサー等、デジタル技術もうまく調和させた独創的なモジュールも数多くリリースしています。
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