Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、NoisyFruitsLabのSproom DSPの紹介/解説記事になります。Sproom DSPは、小型の多機能エフェクターモジュールです。
こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。
Sproom DSPとは
Sproom、half SPace、half ROOM。
Sproom DSPは、FV-1 DSP ICチップを使用した、多機能エフェクターモジュールです。FV-1というのは、Spin semiconductor社の販売しているICチップで、ギター用ペダル型エフェクターにて人気を博した部品とのこと。高品質なリバーブ、ディレイ、コーラス、フランジャー、トレモロ、それらの組み合わせなど、様々なタイプのエフェクトをカバーしています。
ステレオで動作し、Fs=48KHz、6 MIPS※で高品質な音響処理を行い、入力のレベルコントール、Dry/Wetシグナルを前面のノブでコントロールして出力することが可能です。
ステレオ入力、ステレオ出力ですが、Rの入力がない場合は、Lへの入力をRの入力として割り当てて処理が行われます。
※ Fs: Sampling Frequency(サンプリング周波数)
※ MIPS: Million Instructions Per Second(1秒あたりの百万命令数)
24種のエフェクト
Sproomには、3バンク構成、それぞれのバンクにつき8種のアルゴリズムが用意されており、合計で24種のエフェクトの中から一つを選んで使用します。このバンク選択はパネル中央のトグルスイッチで、アルゴリズムの選択はその下のダイヤル式ノブで選択します。
各アルゴリズムは、パネル下部にある3つのノブで用意されたパラメーターをコントロール可能です。そしてこれらは、パネル上部にあるCV1〜CV3ジャックへのCV入力によっても制御可能です。
各ノブを一番左まで回しきった状態(最小)はCV入力に0Vを、一番右まで回しきった状態(最大)はCV入力に10Vを入力した状態と同様の結果になります。CV入力電圧と、このノブによる電圧の和が、それぞれのパラメーター値として設定されます。
エフェクトのデモ
それぞれのアルゴリズムを切り替えた時に得られる効果のデモを自分の方で用意してみました。以下がその動画になるので参考にしていただければと。
この動画でのパッチングの構成は以下です。2種のキック(低いのと高いの)にディレイをかけた後、Sproom DSPに渡しています。
エフェクト一覧
バング毎のアルゴリズム、及び3種のノブ/CV入力によるパラメーターの一覧は以下の通りです。
Bank1(Int)
Bank | Algorithm | Effect Type | Pot1 | Pot2 | Pot3 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | Chorus – Reverb | Verb Mix | Chorus Rate | Chorus Mix |
1 | 2 | Flange – Reverb | Verb Mix | Flange Rate | Flange Mix |
1 | 3 | Tremolo – Reverb | Verb Mix | Tremolo Rate | Tremolo Mix |
1 | 4 | Pitch Shift | +/-4 semitones | ||
1 | 5 | Pitch – Echo | +/-4 semitones | Echo Delay | Echo Mix |
1 | 6 | Test | - | - | - |
1 | 7 | Reverb | Size | HP Filter | LP Filter |
1 | 8 | Reverb | Size | HP Filter | LP Filter |
Bank2(EX1)
Bank | Algorithm | Effect Type | Pot1 | Pot2 | Pot3 |
---|---|---|---|---|---|
2 | 1 | Stereo Ring Modulator | Blend | Carrier Offset | Chorus |
2 | 2 | Reverb Reverse | Pre-Delay | Decay | Damping |
2 | 3 | Tape Delay 1 Head Ping Pong | Rate | Feedback | Damping |
2 | 4 | Tape Delay 2 Head Ping Pong | Rate | Feedback | Damping |
2 | 5 | Tape Delay 2 Head Ping Pong + Reverb | Rate | Feedback | Damping |
2 | 6 | Digifuzzer / Bitcrusher | Sample Rate | Bit Rate | Level |
2 | 7 | Shimmer Reverb | Damping | Shimmer Level | Decay |
2 | 8 | Triple Cascaded Delay | Rate | Rate | Rate |
Bank3(EX2)
Bank | Algorithm | Effect Type | Pot1 | Pot2 | Pot3 |
---|---|---|---|---|---|
3 | 1 | Reverb Hall | Size | Delay | Damping |
3 | 2 | Reverb Large | Size | Delay | Damping |
3 | 3 | Reverb Small | Size | Delay | Damping |
3 | 4 | Reverb Plate | Size | Delay | Damping |
3 | 5 | Reverb Gated | Size | Delay | Damping |
3 | 6 | Delay | Feedback | Tempo | Damping |
3 | 7 | Flanger | Delay | Width | Rate |
3 | 8 | Chorus | Amount | Width | Rate |
見やすいLED
前述の3種のパラメーターのCV入力値は、ノブのすぐ上にあるLEDの明るさへと反映されます。また、パネル中央にある赤のLEDは、クリッピングが発生した時に点灯します。これらLEDにより、各種状態を視認しやすくなっています。
Sproom DSPの使い所
Sproom DSPは42mmの深さであり、浅いケースには入りませんが、8HPというコンパクトなサイズで、操作しやすい大きさのノブを持っています。内蔵されているエフェクトの種類も豊富で効きも強いので、様々なセットアップに組み込むことができるモジュールと言えるでしょう。
それぞれのパラメータはちゃんとCVによるコントロールが可能な点もポイントだと思われます。音楽のスタイルにもよりますが、エフェクトは複数欲しくなることも多いので、汎用的に色々と使えるエフェクトのモジュールとして活躍できそうです。
私個人的にはキックにディレイをリバーブをかけてコンプで潰すみたいのをよくやるので、そういうところに色使えそうか等、色々と試してみようかと思ってます。
その他仕様
- 幅: 8HP
- 深さ: 42mm
- 消費電力: +12V 92mA/-12V 23mA
バンクの書き換えについて
バンク1のアルゴリズムはICに固定されており変更不可。バンク2/バンク3のアルゴリズムはモジュールのEEPROMを自分で書き換えれば好きに変更可能とのことです。
参考: EEPROMの書き換え方法/利用可能なアルゴリズム
参考動画
YouTube上のSproom DSPの参考になりそうな動画です。
その他
光るバナナがかわいいです。
付属品
- フラットケーブル
- ネジ
- バナナキーホルダー
- バナナステッカー
製品の保証について
こちらの商品はメーカー規定で、一般的な通常の使用環境を前提とした2年の保証を約束していただいており、販売させていただいています。商品の不具合等がございましたらお問い合わせ下さい。
NoisyFruitsLabについて
NoisyFruitsLabは、ドイツ南部のコンスタンス湖に拠点を置くブランドです。
Samuel Biniaszczyk氏により設立され、主にユーロラックフォーマットのシンセサイザー関連商品を、限られた量だけ販売しています。小規模ながら高いクオリティのモジュールを多数リリースしています。
オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き
モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。
パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!
Sproom DSPの紹介は以上になります。
Sproom DSPは、NoisyFruitsLabよりはじめて入荷したモジュール群の中で、最も高機能で価格の高いモジュールでした。TakazudoがNoisyFruitsLabの各種モジュールを販売させていただいた理由としては、はじめてモジュラーシンセを触る人でも理解が容易な、ひとえにシンプルで操作性が良い、丁度よいサイズのモジュールを紹介したかったという背景があります。
そういう意味では、このSproom DSPも多機能ながらコンパクト、操作性も良く、CVによるコントロールも可能で、様々なセットアップに組み込むことができるモジュールであるとオススメできるものであると考えています。このモジュールだけで色々と役がこなせますし、このモジュールを起点として、更に自分が欲しいエフェクトを探すなどしていくと良いのかなと思います。
また、こういったモジュールは、CVによるパラメータのコントロールがあれば、LFOなりエンベロープを突っ込むことでほとんど無限に楽しむことができるものとTakazudoは考えています。CVコントロールが無かったら入荷もしていなかったと思います。是非お試し下さい👌
ご参考になれば幸いです。