NoisyFruitsLab: Dual VCA紹介

2024/01/15 Author: Takazudo

Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、NoisyFruitsLabのDual VCAの紹介/解説記事になります。Dual VCAは2系統のVCAです。各々のVCAは、ノブによるレベルコントロールと、CVによるレベルコントロールを2つ備えています。

こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。

Dual VCAとは

Dual VCAとは、その名の通り、2系統のVCAを備えたモジュールです。それぞれのVCAには、ノブによるレベルコントロールと、CVによるレベルコントロールを2つ備えています。シンプルなモジュールであり、単純にVCAが欲しい時に候補となるモジュールと言えるでしょう。

このモジュールのパネル裏のノブ付近にはLEDがついており、このLEDは出力レベルに応じて光るようになっています。これは単純に見た目的に華やかという側面もありますが、色々とモジュールが並んでいる中で、出力レベルを一目で確認できるという意味でも便利です。

ノブの周りが光っている様子

2つのCV入力

とりあえずただのVCAとしてもノブが大きくて使いやすいのですが、このモジュール固有のポイントとして挙げておきたいのは、それぞれのVCAについて、2つのCV入力がついていることでしょう。VCAのOut出力は、以下3つが合成された結果により、レベルコントロールされます。

  1. ノブの位置
  2. CV1ジャックへのCV入力
  3. CV2ジャックへのCV入力

多くのVCAはCV入力ジャックは一つだけですが、このDual VCAには2つのCV入力ジャックがついているため、色々と応用が効きます。

VCAの基本的な使い方をベースに、これらをどう使えるのかというのを簡単に解説します。

トリガー毎の音量コントロール

以降の話は、別途Envelope Generator(以降EG)やLFO等、CVをコントロールするモジュールと併用するという前提で話を進めていきます。

まずごく基本的なVCAの使い方は、シーケンサー等から出力されるgateをEGに渡し、EGから出力されるCVをVCAで受け、入力されたシグナルのレベルをコントロールするというものです。これにより、ずっとシグナルを出力しっぱなしのオシレーターの出力を、時間とともに減衰させることができます。

文章にするとややこしいですね……。ライトに言うと、オシレーターというのはそのままだとドローンサウンドのようにずっと鳴っている状態のシグナルを送り続けますが、これをピアノの音のように、ポンポンポンと、鳴らすタイミングの直後に減衰させて無音状態に移行させることができます。

この、VCAが1つのEnvelopeを受け取ってレベルをコントロールしている様子を図にすると、以下のような形になります。

図:VCAが1つのenvelopeを受け取っている構成

ここでのVCAをこのDual VCAだと想定すると、シーケンサーよりgateを受けたEGがまずenvelopeのCVを作ります。そしてそのCVを、VCAがCV1ジャックに受け取り、それとは別にオシレーターからの出力をInジャックで受け取ります。この結果、Inに受け取ったシグナルを、EGから渡されてくるCVで絞ったレベルでOutから出力します。これがVCAの行っている処理の基本的な流れです。

図:VCAによるオーディオシグナルの減衰処理

そんな風にして、gate毎のレベルコントロールをするというのが、VCAのごく基本的な使い方です。

CVを2つ受け取った場合

そんな風にVCAがCVを受け取るんですが、CVを二つ受け取るとどうなるのか?というのが、パッとよく分からないかもしれません。これはTakazudo自身もよく分からなかったのである程度試しました。

前項の例に加え、よりゆっくりとしたenvelopeを追加で受け取る状況というのを考えてみます。このゆっくりenvelopeをCV2ジャックで受けると、入力されたオーディオシグナルは以下のように絞られます。

図:2つのCVを受け取っている様子

ここで何が起こっているかと言うと、Inで受けたオーディオシグナルは、CV1とCV2に渡されたCVを合成した結果によって絞られた結果がOutより出力されます。(試してみた感じ、おそらくCV1+CV2を2で割ったような形で絞られていそうです)

これにより何がどう嬉しいのかと言われれば、それは使う人次第ではありますが、例えばCV2に緩やかなLFOを入れて、単純なenvelopeの減衰にアクセントを加えてみたり、CV2に高速のLFOを入れてみて、ハードなモジュレーションをかけるような効果を狙ってみたりなど、色々な可能性が考えられます。

個人的には、LFOというより、もっと高速なオシレーターのシグナルを両方のCVに入れてみるなどして、Inで受けるオーディオにメチャクチャにモジュレーションをかけるなどして遊んだりするのがオススメです。

仕様

  • 幅: 4HP
  • 深さ: 24mm
  • 消費電力: +12V 10mA/-12V 10mA

付属品

  • フラットケーブル
  • ネジ
  • バナナキーホルダー
  • バナナステッカー

バナナステッカーとキーホルダーの写真

製品の保証について

こちらの商品はメーカー規定で、一般的な通常の使用環境を前提とした2年の保証を約束していただいており、販売させていただいています。商品の不具合等がございましたらお問い合わせ下さい。

NoisyFruitsLabについて

NoisyFruitsLabは、ドイツ南部のコンスタンス湖に拠点を置くブランドです。

Samuel Biniaszczyk氏により設立され、主にユーロラックフォーマットのシンセサイザー関連商品を、限られた量だけ販売しています。小規模ながら高いクオリティのモジュールを多数リリースしています。

電氣美術研究會

オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

電氣美術研究會

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。

パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!

Dual VCAの紹介は以上になります。

Dual VCAは、NoisyFruitsLabよりはじめて入荷したモジュール群の中の一つです。TakazudoがNoisyFruitsLabの各種モジュールを販売させていただいた理由としては、はじめてモジュラーシンセを触る人でも理解が容易な、ひとえにシンプルで操作性が良い、丁度よいサイズのモジュールを紹介したかったという背景があります。Dual VCAはまさにそういうモジュールです。

VCAはミキサーについていたり、LPFと一緒になっていたりなど、それ単体ではなく、他の機能と組み合わせられていたりなどもします。なので、あえてこのDual VCAじゃないとダメなんだと言うようなケースは少ないでしょうが、シンプルで操作性も良いVCAが欲しいという場合、このDual VCAは有力な候補となるでしょう。

取り立てて、モジュラーをはじめて間もない人が、よくわからないままに高機能なミキサーモジュールを買って、いっぱいいっぱいになってしまうという前に、このようなシンプルなモジュールを組み合わせてモジュラーを学んでいくみたいなケースにおいて、特におすすめしたいモジュールの一つだなと考えています。

ご参考になれば幸いです。