OXI Instruments: OXI Coral紹介

2024/04/19 Author: Takazudo

Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、OXI InstrumentsのOXI Coralの紹介/解説記事です。

OXI Coralは、8ボイスマルチティンバーなポリシンセサイザーモジュールです。コーラス、リバーブ等のエフェクトやローパスフィルターがついていたり、カスタムwavetableを利用できたり、複数のファームウェアが用意されていたりなど、デジタルモジュールの利点をフルに生かしたハイスペックなモジュールです。

こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。

デジタルモジュールとは何?

OXI Coralはハイスペックなデジタルモジュールです。このモジュールの説明を始める前に、軽くデジタルモジュールと呼ばれている類のモジュールとはなにかについて軽く触れておきます。

モジュラーシンセサイザーの世界で、一般的に「デジタルモジュール」というのは、高い処理能力を持ったICチップを利用したり、開発者が自身でプログラムを書き、モジュール内蔵のICチップにインストールして作られているようなモジュールを指してそう呼ばれます。これと反対なのが「アナログモジュール」で、このアナログというのは、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等のアナログ回路部品を組み合わせて作られている、昔ながらの作り方のモジュールのことがそう呼ばれます。アナログモジュールは、ディスクリート(discrete)と言う言葉で表現されることもあり、この言葉はモジュラー界隈のWebサイトでたまに見かけるのではないでしょうか。

ただ、この区分けには大きな意味があるわけではなく、どのくらいのアナログさの部品をdiscreteと呼ぶのかみたいなところは曖昧です。デジタルモジュールだってアナログ部品はもちろん使いますし、ICといっても多様なので、今の時代はそういうデジタル部品が色々使われるようになってきたというぐらいの認識で十分です。

ここで抑えておきたいのは、昨今は技術の進歩により、モジュラーシンセのような小型の機械の中にも、かなり高度な処理が行える部品が安価で使えるようになったということです。

OXI Coralとはこんなモジュール

それでOXI Coralの話に戻りますが、このOXI Coralはかなりハイスペックな、そんなデジタルな部品をフルに活かして作られているシンセモジュールです。ベースはオシレーターですが、8ボイスを同時にならることができるほか、ローパスフィルターやコーラス、リバーブ等のエフェクトまで内蔵しているため、ここではOXI Coralのことをシンセモジュールと表現することにします。

このOXI Coralの機能はかなり多彩なので、ひとまず本家サイトに掲載されている、9つのOXI Coralのポイント紹介をざっと訳して紹介します。このCoralが、ただのオシレーターではなく、多機能なシンセサイザーであることがご理解頂けるでしょう。

1. ファットなサウンド

多くのコンピューティングパワーにより、8ボイスの豊かなサウンドエンジンを提供します。

エンジンによっては、1ボイスで最大8個のオシレーターを持つことができ、つまり一度に64個のオシレーターが鳴り響かせることも可能です。

2. ポリフォニック

Coralは8ボイスの構成です。そしてこのボイスそれぞれが、独立したフィルター、アンプ、モジュレーション、エンベロープ、エフェクトセンドを持っており、これらは個別に制御可能です。

MIDIで細かなコントロールが可能ですが、1 Gateと1 CV(V/Oct)での演奏も可能。この場合は新しいボイスが再生されるたび、別のボイスを割り当てて再生します。

CoralのGateと1V/Oct入力

Coralには1つのGate入力、1V/Oct入力しかありません。なので、複数の音階のノートを同時鳴らすことは出来ませんが、新しいGateが入力されるたびに、その時点での1V/Octをの音階を、新しいボイスに割り当てて再生するため、ここではこの挙動をポリフォニックであると呼んでいます。モノシンセであれば、2音目が再生されると、既に鳴っている1音目は止まってしまいますが、Coralはそのような挙動にはなりません。

3. マルチエンジン

10種類の利用可能なエンジンから、各ボイスに異なるサウンドエンジンを割り当てることができます。新しいエンジンはファームウェアアップデートを通じて利用可能になります。

4. マルチパート

8つのボイスは自由に異なるパートに分割できます。フィルター、エンベロープ設定、エンジン、FX送信、パンなど、すべてのパラメーターは各パートまたはボイスごとに独立して設定することができ、すぐに複雑なパッチを作成することができます。

5. サンプル再生

Coralはユーザーが自由に変更可能なSDカード内のwavファイルを再生することが可能で、はほぼすべての種類のwavファイルをサポートしています(16ビット、24ビット、32ビットのモノとステレオファイル)。そしてその再生時間に制限はありません!

サンプルにオーバードライブを加え、フィルターとエンベロープを使用して音を整え、チューンでピッチのコントロールが可能。CV入力やCC MIDIコマンドを使用してリアルタイムでサンプルファイルまたはフォルダーを変更することもできます。

6. カスタムウェーブテーブル

SDカードに任意のウェーブテーブル.wavファイルをロードして、ウェーブテーブルエンジンに使用できます。ウェーブテーブルは3次元で変形可能です。OXI Wave APPを使用して3Dウェーブテーブルを作成および編集してください。

OXI Wave Appのキャプチャ1

OXI Wave Appのキャプチャ2

7. MIDIインテグレーション

MIDI CCを使い、FX送信からサンプル選択まで、あらゆるパラメーターのコントロールが可能です。CVによる制御と組み合わせ、コンパクトで強力なコンボを実現します。

8. エフェクト

内臓のSpaceエンジンによる、深く豊かなアンサンブルコーラスを利用可能です。内臓のエフェクトセンドはボイスごとに設定可能です。

9. MPE

ファームウェアアップデートにより、MPEをサポートしました。これにより、完全なポリフォニック8ボイスMPEシンセサイザーへと進化しました。

OXI CoralとPlaits

既にモジューラーシンセについてそれなりに知識がある方向けに書くと、OXI Coralのデフォルトファームウェアは、Mutable Instrumentsのオープンソースなモジュール、Plaitsの音にかなり似ています。

というのも、OXI Coralのサウンドエンジンは、このPlaitsのエンジンを参考にして作られているようです。これはOXI CoralのWebページでも、以下のように言及されています。

It brings an awesome sound thanks to its selection of powerful engines from MI Plaits plus custom ones like the MDO, the triple axis Wavetable and the new distorted Harmonic Osc.

そこに前述の通り、サンプルプレイバック機能やカスタムウェーブテーブル機能、エフェクト機能等を追加し、8ボイスに仕上げてMIDI制御できるようにしたものがOXI Coralという風に考えると、わかりやすいかもしれません。

充実のカスタムファームウェア

ただし、OXI CoralはPlaitsのエンジンをただそのまま使っているわけではなく、独自に開発されたサウンドエンジンも用意されており、これはカスタムファームウェアとして提供されています。2024年4月現在では、以下の3つの追加のファームウェアが用意されています。

  • Additive Engine(加算合成シンセサイズ)
  • Acid + Additive Engine
  • 3VCO Moog Engine

これらファームウェアのインストールはUSBケーブルでPC/Macに接続し、なんとブラウザ上で手軽に更新が可能。これらエンジンをそれぞれ深堀りしているだけでもかなり楽しめます。

OXI Coralのパート機能

Coralのパート機能についても、もう少し触れておきます。

Coralは8ボイスと言っても、1つのプリセットを8ポリで鳴らせるだけではありません。Oxi Coralには「パート」という概念があり、例えば1つ目のパートとして4ボイスのシンセを設定、2つ目のパートとしてバスドラを1ボイス、3つ目のパートとしてハイハットを1ボイス……という具合にして、8ボイスを自由にグルーピング出来るパート機能を有しています。

このパート機能とMIDIによる制御をフル活用すれば、OXI Coral一つだけに、楽曲やライブ演奏の音源を担わせることも可能でしょう。パート機能の存在は、OXI Coralの可能性を、高度にカスタマイズ可能なマルチパート、マルチティンバーのシンセサイザーへと引き上げています。

OXI CoralとOXI ONE

このOXI Coralは、同OXI Instruments社のシーケンサーであるOXI ONEとの相性は抜群です。と言うよりも、OXI ONEがまずあり、そこに合うモジュールを考えた結果OXI Coralが作られたのではと思えるほどの親和性があります。

OXI Coralにはここまでに書いてきたようにたくさんの機能があります。そしてそれらはMIDI CCでほぼ全てがコントロール可能になってはいるのですが、このOXI Coral自体に用意さているノブ/ボタン/ジャックの数は限られているのです。

Instruments Definition

OXI ONEはMIDI出力が可能です。そしてそれぞれのチャンネルに対し複数のCCシーケンスを組むこともできます。さらに、OXI ONEはファームウェア4.0のバージョンアップ時に、Instruments Definitionという、MIDI CCのプリセットとして、内蔵されている著名なMIDI機器のパラメーターマッピングを選べる機能が追加されました。

Instruments Definitionを利用している様子

これが何を意味するかと言うと、OXI ONEでCoralのフィルタのCutOffを変更したいと思った場合、Coralのマニュアルを見て「えーとCutOffは何番だっけ……1番でした!じゃあOXI ONEではCCとして1番を設定して……と」みたいなことをやる必要はありません。OXI ONEのトラックでInstrumentとしてCoralを選ぶことが可能になっており、これを選んでおけば、OXI ONEのモニタ上でコントロールしたいCutOffを選ぶだけで、自動でCC1番を送信するように設定できるのです。

そのCCのコントロールは、OXI ONEのノブやModulation Laneで直感的にコントロール可能です。これについては以下のOXI ONEの紹介記事でも触れていますので、是非併せてご参照ください。あまり書くとOXI ONEの紹介になってしまいますが、これは本当に便利な機能です……。

このCoralのように、それ自体にはコントロールするインターフェースを持ち合わせていないモジュールやシンセサイザーは、こういったCCの制御が面倒になってしまいがちですが、OXI ONEはそのハードルを大きく引き下げてくれるシーケンサーです。是非併せてご検討頂けるとよいかと思います。

参考動画

OXI InstrumentsのYouTubeチャンネルには、OXI Coralを使ったデモ動画のリストが用意されています。以下、OXI InstrumentsのYouTubeチャンネルより是非チェックしてみて下さい。

ほか、私TakazudoがYoutTubeに公開しているセッション動画でも、OXI Coralを使っているものがあります。以下はOXI CoralをOXI ONEでコントロールしており、シンセボイスはOXI Coralのみです。よろしければご参考にして頂ければと。

マニュアル&ファームウェア&Wave APP

OXI Coralのマニュアル(英語のみ)は、以下Webページにて公開されています。

OXI Coralのファームウェアは以下よりダウンロード可能です。そしてなんとOXI Coralには複数のファームウェアが用意されており、それぞれのファームウェアにより、異なるシンセサウンドを楽しむことができます。是非お試し下さい。

その他、OXI Coral内蔵のWavetableを編集するためのアプリ「Wave APP」も公開されています。こちらも是非ご活用下さい。

仕様

  • 幅: 14hp
  • 奥行き: 3cm
  • 消費電流: +12V:-110mA/-12V:-10mA/+5V:-0mA
  • オーディオ出力: 2x モノラル DC coupled outputs(±5 V)
  • 入力: 1x MIDI TRS(Type A and B compatible)/8x CV inputs ±5V(±10V max)、1x Gate input

製品の保証について

こちらの商品はメーカー規定で、一般的な通常の使用環境を前提とした2年の保証を約束していただいており、販売させていただいています。商品の不具合等がございましたらお問い合わせ下さい。

OXI Instrumentsについて

OXI Instrumentsはスペインに拠点をおく楽器メーカーです。

手軽に、そして直感的に音楽を創造することができる、イノベーティブなツールを開発しています。Oxi Instrumentsの商品はいずれもデジタル技術を活かした、クリエイティブなアイデアに溢れています。

電氣美術研究會

オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

電氣美術研究會

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。

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