
Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、Recovery Effects And DevicesのAnalog Kickの紹介/解説記事になります。
Analog Kickは、クラシックなアナログサウンドを手軽に扱える小型キックモジュール。FundamentalとContourの2つのパラメーター制御により、タムのようなアタック感のあるパーカッションや、TR-808のキックを派生させたようなベース的なサウンドを生み出すこのとできる、3HPのコンパクトなモジュールです。
こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。
- 商品写真
- Analog Kickとはどういうモジュールか
- Analog Kickの音色の特徴
- Analog Kickの使い方
- 類似モジュール: AD110 Analog Drums
- 類似モジュール: ADDAC106 T-Noiseworks
- 参考動画
- 技術仕様
- 付属品
商品写真
Analog Kickとはどういうモジュールか
このモジュールは、サイン波をベースとしていると思われる、TR-808のキックを低くして長く伸ばしたような、低音要素の強いベースやキック、そして短くするとポッポッというような、タムのようなパーカッションサウンドを生み出すことの出来るモジュールです。
使い方としては、TRIGGER
ジャックにGateシグナルを入力。OUT
からオーディオシグナルを出力します。FUNDAMENTAL
ノブ、CONTOUR
ノブでサウンドのキャラクターを調節可能で、FUNDAMENTAL
の方はCV入力による外部からのコントロールも可能。3HPでコンパクトながら、クセのある低音パーカッション〜ベースサウンドを生み出すことの出来るモジュールになっています。
Analog Kickの音色の特徴
このAnalog KickにあるFUNDAMENTAL
とCONTOUR
という単語は、音楽機材ではあまり見かけないかと思われます。単語の意味としてはFundamentalは「基本的な」、Contourは「輪郭」みたいに訳すことが出来ますが、なんだか微妙に曖昧な印象を受けます。どういうこと?と思っていじってみたのですが、その挙動から察するに、単純にピッチが変わるとか、Decay(ディケイ)が変わるというわけではないことを表しているように思えました。
実際にこれらノブを回すと、以下のようにサウンドが変化します。
FUNDAMENTAL
- 左いっぱいに回すとやや高いタムのようなサウンド。右に回していくとより低い音へと変化する
CONTOUR
- 左いっぱいに回すとごく短いDecayがかかったようなサウンド。右に回していくとブーンというベースサウンドのような変化。ただこの変化にはピッチの変化も伴う?
このようなパーカッションサウンドを作るモジュールだと、単純にピッチやDecayが変わるというモジュールはよくあるかと思うのですが、自分が触った感触ですと、この2つのパラメーターは、お互いが関係し合って最終的な音を作っている印象でした。
そしてここには、このRecovery Effects And Pedalsというブランドのペダルやモジュールのデモらを聞いていると感じる、音が若干割れたようなFuzz感のあるトーンにも変化するように感じます。
ひとまず、ピッチに大きく影響するのがFUNDAMENTAL
の方でして、右に回すとピッチが下がります。なので当然、1V/Octで制御することを想定していません。CVをシーケンスしたり、Envelopeを入れたりして、雰囲気で使うようなタイプのベース的なモジュールと言えそうです。
作られる音としては、何かしら生楽器を再現すべく色々と工夫したというようなものでは無いと言えるでしょう。アナログ回路が生み出す、プリミティブなタイプのクラシックなアナログサウンドという印象。そこにRecovery Effects And Devicesらしい味付けが加わっているような印象です。
Analog Kickの使い方
このモジュールは、ここまでで書いてきたように、ひとまずメインの役割としては、タムやTR-808キック的なパーカッションとして。そして厳密なピッチを求めないタイプのベース的な役割として使うというのが、想定される使い方かと思われます。
ほか、私がちょっと触ってみた印象ですと、CONTOUR
を右に回していくと、ベースというよりか、ブーンと深く響く鳴り響き続ける、若干Fuzz感のある、低音で埋め尽くするようなサウンドになり、何か他のモジュールと組み合わせて、パンチのある表現が可能そうな気もしました。
そのように、低音パーカッション&ベース的な音が欲しいときに候補となるモジュールであると言えるかと思います。
類似モジュール: AD110 Analog Drums
私がこのAnalog Kickを触ってみて、まず始めに私自身が似た役割で使っていたというモジュールがありました。それは以下、Weston Precision AudioのAD110 Analog Drumsです。
このAD110というモジュールは、一通りのアナログっぽいリズムマシンサウンドを作るモジュールなんですが、このKickの音が、TR-808のキックにかなり近い印象でした。
自分の好み的には、ハードめなテクノを好んでいたので、TR-909っぽいキックをメインにしたく、そのメインキックとして以下のB2 Kickを使っていたのですが、このメインのキックと合わせて使うと、かなり良い感じのベース的な低音をカバーする役割になるなと。
そのように使ってみたセッションとして、こちらやこちらがありまして、よろしければ参考にしていただきたいと考えていますが、まず、こういう低音キックを長いリリースを持たせて鳴らすと、何かベース的なサウンドとして使えるというのはまず一つ、こういったキック系パーカッションモジュールではあるかと思います。もし「初めて知った」的に感じてもらえたなら、是非お試し頂ければと。
それでこのAD110というのは、これ自体は一つ一つの音に対してわずかなコントロールしかありません。なのでPitch(ピッチ)とResonance(レゾナンス)をノブでいじり、その低音キックを使っていたわけなんですが、そのキックだけを切り出して、なおかつCVコントロールも可能にしたというのに近いのが、このAnalog Kickというモジュールに近いです。
なんだかかなり回りくどい説明になってしまいましたが、その感じ分かる!と思ってくれた方でしたら、このAnalog Kickがどんな感じなのか、イメージして頂けるのでは無いかと(勝手に)思っています。
類似モジュール: ADDAC106 T-Noiseworks
もう一つ、似たモジュールとして挙げたいのが、ADDAC SystemのADDAC104 VC T-Networksです。
こちらも似たようなTR-808キック的なアナログサウンドを、ノッチフィルタをガツンとかけたらなんかいい感じになったのでモジュールに落とし込んでみました、みたいなモジュールです。
この音はこちらのセッションでひたすらポコポコ鳴らしているので音の特徴としては動画を見て頂けるとわかりやすいかと思うので、よろしければ参考にしていただければと思います。
このAnalog Kickの音は、このADDAC104の音と比較すると、よりリリースを長くすることもでき、なおかつ音が割れたようなFuzz感も付けられるという印象です。
私の経験的なところからすると、そういったアナログ回路の作り出す音のおもしろさを形にしたタイプのモジュールは、触ってみると色々と発見があるものと考えています。
例えばなにかトラックを作ろうかとおもったとして、サンプリングされた素材を探していたとします。その時、何かそういうただ単にレゾナンス強くしてポコポコ鳴っている?音のサンプルがあったとしても、あえてそれを使おうという気にはなかなかならないのではないでしょうか。それはなんというか、このようなアナログ回路で作られた楽器があり、それを演奏する体験から気付く良さみたいなものがあるかと、個人的には感じています。
そんなわけで、私自身もこのモジュールを使って何か撮ったらこのページにも追加しようと考えていますが、そのようなアナログサウンドが気になったら是非チェックしていただきたいモジュールです。
参考動画
以下は、Recovery Effects And Devicesの公式YouTubeチャンネルにて公開されている、Analog Kickのデモ動画です。キック音の変化が確認出来るシンプルなデモになっています。
技術仕様
- 幅: 3Hp
- 深さ: 16mm
- 消費電力: 100mA +12V/0mA -12V/0mA +5V
付属品
- フラットケーブル
- ネジ
Recovery Effects And Devicesについて
Recovery Effectsは、アメリカ・シアトル発の音響機器ブランド。ハンドメイドによる高品質なエフェクトペダルやモジュラーシンセ用モジュールを製造し、独自のサウンドデザインと個性的な機能で多くの音楽クリエイターに支持されています。
オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き
モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。
パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!
Analog Kickの紹介は以上になります。
ご参考になれば幸いです。