Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、ADDAC SystemのADDAC104 VC T-Networksの紹介/解説記事になります。
ADDAC104 VC T-Networksは、クリックサウンド/ブリップサウンドと形容されるようなパーカッションサウンドを、4ボイス発振するモジュールです。それぞれのボイスについて、周波数をノブ/CV入力でコントロール可能です。
こちらはADDAC Systemにてビルドされた完成品のほか、DIYキットも取り扱っています。
こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。
- 商品写真: 完成品
- 商品写真: DIYキット
- ADDAC104 VC T-Networksとは
- 基本的な使い方と3タイプの音色選択
- ADDAC104の使いどころ
- 参考動画
- マニュアル
- 技術仕様
- 付属品
- DIYガイド
商品写真: 完成品
商品写真: DIYキット
ADDAC104 VC T-Networksとは
クリックサウンドを4つ?と言われても良く分からないかと思われます。つまりどういう音なのかというのは、後に紹介する動画を見て頂ければと思うのですが、そこそこ多くの一つに伝わりそうな言い方を考えるとすると、TR-808のキックドラム的なサウンドのパーカッションが4パート分。それぞれ細かくいじれるようにしたもの……というような認識をしてもらうと良いかもしれません。
このモジュール名にあるT-Networksというのは、T字型ネットワークという、抵抗とキャパシタを組み合わせた回路のセットのことを指します。それが何をしてくれるのかというと、特定の周波数を減衰させるノッチフィルターのような働きをします。そしてこのT字型ネットワークを2つ組み合わせて音を作るという手法が、クラシックなドラムマシンで多く採用されてきたとのこと。調べてみた所、TR-808もそのドラムマシンの一つでした。
このADDAC104は、そんなT-Networksの生み出すサウンドに着目し、ADDAC Systemが4ボイスの、パーカッションモジュールとして形にした楽器と捉えるのが良いかと思われます。
基本的な使い方と3タイプの音色選択
パネルには4ボイスそれぞれにつき、同じインターフェースが用意されています。
TRIGにgateを入れると、このFREQUENCYノブの位置に応じた高さのクリックサウンドがOUTより出力されます。この周波数はCV INPUTにCVをでもコントロール可能で、それぞれについて個別のattenuverter付きです。
真ん中にあるL/M/Hと書いてある三段階スイッチは、周波数のレンジを以下3種類に切り替えるものです。
- L(Low): 低めの周波数を発振
- M(Modified): アクセント強めに調整されたボイスを発振
- H(High): 高めの周波数を発振
Mは中音域のMiddleではなく、ややレゾナンスが強調されたような、異なるキャラクターのボイスに切り替わります。
ADDAC104の使いどころ
このモジュールを初めて見た時、クリック音が4つ?どういうこと?それって嬉しいの?というのが私の第一印象でしたが、デモを聴いてみるとなるほど、こういう音って良いものなんだなということに気付かされた気分でした。
これまでなんとなく聞き過ごしていたこのようなクリック音を、楽器の鳴らす音の一つとして再認識した気分です。ミニマルなテクノが好きな方などは、これが自分の求めていたモジュールとさえ感じるかもしれないです。
TRIGにgateを入れると発振するなので、高速な矩形波等のオシレータ出力を入力しても、周期ごとに発振するという結果になります。この様にパッチングした場合、矩形波に猛烈なモジュレーションがかかったような出力になります。マニュアルではこれを「非常に破壊的なフィルタとしても動作する」と表現されており、このようにして得られるサウンドも面白いです。
私としては、このモジュールはとてもモジュラーシンセらしいアイデアのプロダクトだなと感じています。ドラムをただドラムとして認識していただけでは、なかなかこのモジュールの発想には至らないでしょう。
気になる方は是非、お手にとってみてはいかがでしょうか。
参考動画
以下、DivKid氏によるADDAC103の解説動画です。
ここまでで触れてきませんでしたが、このADDAC104は、よりシンプルなバージョンのモジュールであるADDAC103に、CV入力とattenuverterを追加した上位バージョンという位置づけになっています。出力されるサウンド自体は同じものなので、そのようなものと認識して頂ければ問題ありません。
マニュアル
以下公式サイトにてマニュアルが公開されています。
技術仕様
- 幅: 8Hp
- 深さ: 25mm
- 消費電力: 50mA +12v/50mA -12vV
付属品
- フラットケーブル
- ネジ
DIYガイド
DIYキットには、パネル、PCB、すべての部品、フラットケーブル、取り付けネジが含まれています。
ADDAC Systemは、Webサイトに細かなDIYガイドを用意しています。以下がそのガイドになりますので、組み立ての際にはこちらを参考にしつつ組み立ててみて下さい。
このモジュールには多数の非常に小さいパーツ(SMDパーツ)が使用されていますが、それらは既にPCB基盤にはんだ付けされているタイプのDIYキットです。なので、比較的サイズが大きく、人の手ではんだ付けし易いパーツ群(Through-Holeパーツ)を取り付けることで完成させることができるように準備されたものになっています。
モジュラーシンセのDIYとは?
モジュラーシンセサイザーのDIYについて詳しくご 存じない方向けに、以下にDIYの導入的なコラムを用意しました。DIYについてご興味のある方、始めてみようと思う方は、是非ご参照いただければと。
また、組み立てに際して不明点や不安な点がございましたら、以下Takazudo Modularのdiscordチャンネルにてお気軽にご質問等、頂ければと思います。
ADDAC Systemについて
ADDAC Systemはポルトガルのモジュラーシンセメーカーです。
アナログ良さを生かした、ベーシックな機能をしっかり形にしているモジュールラインナップを基本としつつも、CVをMIDIに柔軟にコンバートしたり、高度にコントロール可能なグラニュラープロセッサー等、デジタル技術もうまく調和させた独創的なモジュールも数多くリリースしています。
オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き
モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。
パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!
ADDAC104 VC T-Networksの紹介は以上になります。
是非、このモジュールの作り出すクリック/ブリップサウンドを楽しんでいただければと思います。
ご参考になれば幸いです。