Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、ADDAC SystemのADDAC511 VC Stochastic Voltage Generatorの紹介/解説記事になります。
ADDAC511 VC Stochastic Voltage Generatorは、確率的な電圧生成を高精度かつ多層的に制御できる、4チャンネル仕様のCV生成モジュール。量子化、分布選択、補間、確率変調などの機能を統合し、ステップ単位のCV生成を直感的にコントロール可能。2013年のADDAC501 Complex Randomの設計思想を継承しつつ進化させたCV生成コントロールセンター。ステート保存やクロック同期、CV制御、シーケンサーやクオンタイザーも備えた、進化したランダムCV生成モジュール。
本商品は以下よりご購入頂けます。
Takazudo Modularではマニュアル等の日本語訳付きを作成し、公開しています。以下よりご参照下さい。
商品写真




多機能な4チャンネル確率電圧モジュール
ADDAC511は、ランダム性と構築性を高次元で両立させた4チャンネル仕様の確率ベースCVジェネレーターです。各チャンネルは、ランダム電圧生成・ランダムエンベロープ生成・クオンタイザーの3モードで動作し、モードごとに完全に異なる動作が可能です。これにより、自由度の高いランダム生成から構築的なCV処理まで、幅広いユースケースに対応します。
各チャンネルの基本構成とパラメータ
ADDAC511の1チャンネルは以下の構成要素から成り立っています。
- バーチャルクロック(4系統)
- 物理クロック入力(4系統)
- ゲート出力(1系統)
- CV出力(1系統)
- 32ステップメモリ
- 3つのステート(プリセット)
※ "バーチャルクロック"は物理ジャックを介さず、内部的にタイミングを生成・制御するソフトウェア的なクロックです)
パラメータ設定はそれぞれのステート単位で保存され、最大75の全体プリセットとして保存・呼び出しが可能です。
モード別機能詳細
ランダム電圧生成モード
- ステップごとに新たな電圧を確率的に生成し、連続またはステップ状に出力
- 補間カーブ(リニア、指数、対数、ステップ、ベジェ)で電圧遷移を滑らかに制御
- 分布タイプ(Uniform、Free、Walk)による電圧分布の個性付け(Uniformは均一なばらつき、Freeは中心寄り、Walkは前ステップに近い値が続く挙動を生む)
- スケールにスナップする出力補正(スケール、ルート、トランスポーズ)
ランダムエンベロープ生成モード
- 各ステップでトリガーによってエンベロープを発生
- TimeとValueをパラメータ化し、エンベロープの長さや到達点を制御
- スムージングとカーブ設定による滑らかな変化
クオンタイザーモード
- 外部CVを入力し、指定のスケールにスナップさせて出力
- CVによるRoot、Scale、Transposeの変更も可能
- エンベロープ変調との組み合わせで複雑な音階変化にも対応
時間制御とクロック
- 各チャンネルは独立して内部/外部クロックを選択可能
- BPMモード/ミリ秒モードの切り替えにより、音楽的/自由時間表現に対応
- クロックディレイ、スキップ確率により、非同期やポリリズム的表現も実現
- クロックソースとしてロジック演算(AND/OR/XOR)、カウンターの利用が可能
ステートとプリセット管理
- 各チャンネルは3つのステートを持ち、それぞれ異なるパラメータセットを保持
- チャンネル間のステートリンクや、外部信号によるステート切り替えにも対応
- 最大75のプリセット保存で、セッション間の再現性を確保
CV制御と外部連携
- 8系統のCV入力を任意のパラメータにアサイン可能
- 各CV入力には、ゲイン、オフセット、極性反転、範囲制限設定が可能
- 入力は全チャンネル共通で使用可能なため、モジュール全体を動的に制御可能
- CVクロスモジュレーションや外部LFOとの統合にも適する
入力されたCV信号は、タイミング、電圧レベル、確率、補間カーブ、スケール設定など、各種パラメータを外部からリアルタイムに変調する用途で活用されます。これにより、静的な設定にとどまらず、LFOや他モジュールとの連携によって動的なパターン生成が可能となります。
ロジック出力と演算機能
- 3つのロジック出力は以下のモードに設定可能:
- クロック(任意チャンネルから)
- カウンター(指定回数でトリガー)
- ロジック演算(AND, OR, XORなど)
- クロックルーティングやイベントトリガーとして柔軟に使用可能
ステップシーケンスとシーケンスロック
- 各チャンネルには独立した32ステップのメモリが用意されており、ステップごとに異なる値やタイミングの記録・再生が可能
- ランダムに生成された出力を32ステップまで記録し、ループ再生可能
- ステップごとのパラメータ編集により、完全なステップシーケンサーとして機能
- 一度だけ変化する"Change Once"や、毎回変化する"Change Always"など、演奏的制御が可能
インターフェースと操作性
- OLEDディスプレイにより、パラメータ表示が明確で多階層操作でも迷いにくい
- デュアルエンコーダーによる迅速なパラメータ選択と調整
- 長押しや同時押し操作によるショートカット操作に対応
- ステートやチャンネル状態の表示も視認性が高く、ライブでも即応可能
ADDAC511は、偶発性と計画性、ランダム性と構造性を同時に扱うための高精度なツールです。CV生成だけでなく、時間、音階、トリガー、ロジックといった多様な信号設計を一手に引き受け、複雑なモジュラー構築の中核を担う存在として設計されています。
参考動画
Takazudo的所感
こちらのモジュールは、この商品紹介を書いているこの時点(2025年5月)では私はまだ実機を触ってないのですが、ADDAC System的なシーケンサーに類するモジュールの一つの形のようなものに思えます。

ADDAC Systemのラインナップの中には、ずばりステップ毎にCVを分かりやすく出力するタイプのシーケンサーというものは存在しておらず、どちらかといえば、回路の生み出す偶然性や、ノブやスイッチの組み合わせにより作られるCVを形にする方法を重視している印象です。それは言ってみれば、OXI ONEのような、ステップ毎にプログラムすることを第一にしたアプローチとは異なる哲学的なものを感じます。(OXI ONEにも色々な機能はありますがUIとしての違いという視点での印象として)
言ってみればそれは、デジタルな技術がいくら発展しようと、あくまで人の手がノブやスイッチ、そしてCVを通じて音響を作るというアナログな部分からはそれないようにというような考えが根底にあると、私はADDAC Systemのモジュールに感じることが多いです。
そんなADDAC Systemは別にデジタルなモジュールを作らないわけでは無くて、具体的には以下のルーパー&グラニュラープロセッサーのADDAC112があります。
グラニュラーというのはまさにデジタルな技術がもたらした処理で、録音された音を細かく分割し、それをならすものなわけなんですが、世の中の多くのグラニュラープロセッサーは、割と細かくいじらなくてもなんかいい感じに音が鳴るという方向性が強いものが多いように思います。それと比べるとこのADDAC112は硬派というかなんというか、一つ一つがコントロールできるようになっている、それはアナログさも持ち合わせたモジュールになっていたのです。
このADDAC511にはまさにその様な精神を感じさせるモジュールに仕上がっていると感じます。おそらくですが、なにかボタンやノブを適当にいじれば、確率でなんかいい感じのメロディーになるのかな?という風には、おそらくならないような気がします。ADDAC112のように深掘りしていくとだんだんとこのモジュールのことが理解できて、なおかつ自分の思うようにコントロール出来るようになっていく、そのようなモジュールであることを予感させます。
なんとなく、これはTakazudoの個人的な感覚なのですが、完全にランダムなCV生成って、自分でコントロールしている意味が感じられなかったりしませんかね……? 例えばですが、ホワイトノイズをSample & Holdでビート毎にサンプリングし、クオンタイザーを通せば、ずっと変化するメロディーが得られます。ですが、そのままだとあまりにもピッチの幅が大きすぎるということで、CVをアッテネートしたりオフセットしたり、そしてクオンタイザーでスケールを設定してみて、自分はどういうスケールを好んでいるか探るみたいなアプローチがモジュラーシンセではあると思うのですが、このモジュールはそういったアプローチを一つのモジュールに詰め込んだ。そんな印象のモジュールです。
マニュアル
技術仕様
- 幅: 20HP
- 深さ: 45mm
- 消費電力: 200mA +12V / 100mA -12V / 0mA +5V
ADDAC Systemについて
ADDAC Systemはポルトガルのモジュラーシンセメーカーです。
アナログ良さを生かした、ベーシックな機能をしっかり形にしているモジュールラインナップを基本としつつも、CVをMIDIに柔軟にコンバートしたり、高度にコントロール可能なグラニュラープロセッサー等、デジタル技術もうまく調和させた独創的なモジュールも数多くリリースしています。
オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。
パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!
ADDAC511 VC Stochastic Voltage Generatorの紹介は以上になります。
Takazudo Modularではマニュアル等の日本語訳付きを作成し、公開しています。以下よりご参照下さい。
ご参考になれば幸いです。