Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、ADDAC SystemのADDAC401 Gated Envelope Follower VS2の紹介/解説記事になります。
ADDAC401は、一般的なEnvelope Follower(エンベロープフォロワー)の機能に加え、8つのGate出力を持つモジュールです。8つのGate出力ジャックからは、入力されたオーディオのレベル8段階に応じたGATE CVが出力されるという、ユニークな機能付きです。
本商品は、以下よりご購入頂けます。
- 商品写真
- Envelope Followerとは
- ADDAC401 Gated Envelope Follower VS2の使い方
- Envelope Followerの使い方
- 8つのGate出力機能
- ADDAC401の使いどころ
- 技術仕様
- 付属品
- マニュアル
商品写真



Envelope Followerとは
まず、Envelope Followerとはどのような機能のことを指すのかについて解説します。
Envelop Folloerとは、入力されたオーディオシグナルのレベルを元に、CVを作り出す機能、及びその機能を持つモジュールのことを指します。例えば、キックドラムの4つ打ちが鳴っている状態を想像してください。このキックドラムの波形はおおよそ以下のようなものになるでしょう。

このシグナルをEnvelope Folloerに渡すと、以下のようなCVを出力することができます。

ADDAC401ではオーディオシグナルはAUDIO INジャックで受け取り、このようにして作られるCVはCV OUTジャックより出力されます。
ひとまずこれが、世間一般でEnvelope follower(=エンベロープに追従するヤツ)と呼ばれるモジュールが持っている、基本的な機能です。このようにして作ったCVは、他で自分の好きなように使います。
ADDAC401 Gated Envelope Follower VS2の使い方
こうして作られるCVは、モジュールについているノブで調整可能です。このADDAC401であれば、以下4つのノブを操作し、欲しいCVを調整します。
LEVELノブ: 入力オーディオのレベルを調整DECAYノブ: CVの減衰時間を調整ENVELOPE GAINノブ: 生成したCVのゲインを調整ENVELOPE OFFSETノブ: 生成したCVのオフセットを調整
それぞれのノブの役割をざっと解説します。
1. LEVELノブ
AUDIO INジャックで受けとった信号は、まずこのLEVELノブによりレベル調整されます。渡されているオーディオレベルが小さい場合には増幅させ、大きい場合には小さくするという具合に調整を行います。

2. DECAYノブ
次にADDAC401は、レベル調整されたオーディオのレベルをCVに変換するわけですが、この際に、CVの減衰時間を調整することが出来るようになっています。
DECAYを小さい値にしていると、左のようにオリジナルのオーディオレベルに近いCVが生成されますが、大きい値にすると、このCV生成時にレベルの減衰時間が付与され、ゆるやかなEnvelopeを生成することができます。

実際の挙動から察するに、Decay中により電圧の高いCVが生成されようとする時、その上がり幅も緩やかになるようです。
3. ENVELOPE GAINノブ
こうして生成されたCVは、ENVELOPE GAINにより、そのゲイン調整を行うことができます。1で調整したLEVELとの違いは、先に調整するか、後で調整するかの違いです。このステップでは2のDecay処理を考慮したCVの調整が行えます。

4. ENVELOPE OFFSETノブ
ゲインが調整されたCVは、最後のENVELOPE OFFSETノブにより、電圧を上限にずらすことができます。

全体の流れとしては、LEVELとDECAYで欲しいCVの形を決め、ENVELOPE GAINとENVELOPE OFFSETで、この生成したCVを渡す先で使いやすいように調整するという感覚で考えてもらえると分かりやすいかもしれません。
ひとまずこれがこのモジュールの基本的な使い方です。
Envelope Followerの使い方
そんなEnvelope Followerの使い方を聞いてもピンと来る人は稀なのではと思われるので、実際にどのように使われているのかを紹介します。
Envelope Filter/Auto Wah
ギターのエフェクトペダルでEnvelope Filter(エンベロープフィルター)やAuto Wah(オートワウ)と呼ばれるものがありますが、これは前項で挙げたEnvelope FollowerとFilter(フィルター)を組み合わせたエフェクトです。
例えば、以下はギターを演奏し、その出音にMXR M82というギター用エフェクターをかけているデモをしている動画です。
この動画では、前半はエフェクターをかけていない状態のギター演奏が流れますが、後半はエフェクターを通した音が確認できます。これを聞くと、前半の音に対して、後半では、ミョンミョンミョンと、Low Pass Filter(ローパスフィルター)にResonance(レゾナンス)をかけたような音になっていることが確認できます。
これは、このエフェクターが、入力されたオーディオのレベルに応じてFilterのCutoff(カットオフ)周波数を上下させており、その内蔵FilterにかかっているResonanceの塩梅で、このような音が作り出されています。
これは、ADDAC604 Dual FilterとこのADDAC401があれば、簡単に再現可能です。ADDAC401で作ったCVをADDAC604のCutoff CV Inputへ繋ぎ、Resonance等を調整し、自分のほしい塩梅のフィルター具合に調整します。この構成であれば、作るEnvelopeもDECAYやENVELOPE GAIN等で細かく調整可能です。
Envelope FilterやAuto Wahと言うのは一般的にそういう構成というだけで、当然、部品等の差で出力結果得られる音は変化しますが、ひとまずここでは、このように、Envelope Followerを使ってオーディオレベルに応じたCVを作り出すことで、他のパラメータのオートメーションに利用することが可能であるということに注目してください。
Sidechain Compression/Ducking
Sidechain Compression(サイドチェインコンプレッション)やDucking(ダッキング)と呼ばれる音響処理にも、Envelope Followerが利用されます。
はじめに説明したキックドラムの4つ打ちの例を再度思い出してください。このキックドラムの波形をEnvelope Followerに渡すことで作られるCVは以下のようなものと説明しましたが、

このCVを、Attenuverterで以下のようにひっくり返します。

そしてこれを、キック以外の音(ハイハットやベース等)をMixしたMixerのGainを制御するためのCVとして使うとどうなるでしょうか。キックドラムが鳴った際に他の音が小さくなるという効果が生まれます。
これがSidechain CompressionやDuckingと呼ばれる効果で、このようにキック以外の音を、キックのボリュームに応じて減らすことで、キックを際立たせることが可能です。これはキックの4つ打ちをベースとするクラブミュージックなんかでそこそこよく使われている方法です。
余談ですが、Kickstartという著名なDAW用プラグインがあり、これはキックを際立たせることだけに特化したもので、多くのアーティストが使用しているようです。
このように、Envelope Followerが作るCVを、別のパラメータのコントロールに使用することで、様々な効果を作り出すことができます。モジュラーシンセにおいては、ありとあらゆるパラメータがCVで制御できるようになっているわけなので、枠にとらわれない音作りが可能です。
8つのGate出力機能
ADDAC401には、この基本的なEnvelope Followerの機能に加え、8つのGate出力を持っています。この機能はなかなかユニークです。
8つのGate出力は、パネル上側にある8つのLEDと対応しており、生成するCVのレベルに応じ、このLEDが点灯します。


このLEDは、VUメーターのごとく、生成されるCVの電圧が小さければ下の方だけが、電圧が大きければ上の方まで点灯するという具合に、8つのLEDがCVの出力電圧の大きさを表現します。そしてそれぞれのLEDが光っている間、対応するOUTジャックからは5VのGateが出力されます。(ENVELOPE GAINとENVELOPE OFFSETが適用される前の状態のCVが評価されます)
先ほどのキックを元にCVを作るとすると、以下のように、ボリュームが大きいタイミングではOUT1〜OUT7からGateが出ており、キックが消えかかるぐらいのボリュームが小さいタイミングでは、OUT1とOUT2だけからGateが出ているという具合です。


パネル右上のエリアにあるOFFSETノブは、このLEDとOUT1〜OUT8ジャックの組み合わせを1つずつずらす機能で、これはOFFSET CVジャックへのCV入力での制御可能。このOFFSET CVへの入力は、CV ATT.ノブによりAttenuate(アッテネート)可能です。

最後に残るOFFSET TRIG.ジャックでは、Gate CVを受け取ることができます。このジャックにCVが渡された場合、前述OFFSETノブによるOUTジャックのずらし機能が無効化され、代わりにこのジャックにGateを受けるごとに、一つずつLEDとジャックの組み合わせがずれていきます。
このあたり、特に最後のLEDとOUTをずらす機能なんかは、取り立てて、「こう使え」という明確な指針がモジュールにあると言うよりかは、様々なアイデアを試せるような作りになっていると考えられそうです。
ADDAC401の使いどころ
筆者Takazudoは、Envelope Follower自体は知っていて、書いたSidechaing Compressionだけは他で同じようなことをしてよく利用していたのですが、Envelope Followerのモジュールをこれまでに実際に買ったことはなかったので、このADDAC401を入荷してみて試したのが、自分にとっての初のEnvelope Folloerでした。
そして実際に使ってみると、かなり色々な使い方が出来そうで、応用範囲の広いモジュールであると気付かされました。例えばADDAC701.REV2 VCOには、多くのVCOがそうであるように、FM Modulation(FMモジュレーション)とPWM(Pulse Width Moduration)の入力ジャックがありますが、ここにEnvelope Folloerで作ったCVを渡すと、面白い効果が得られました。
このような時、一般的なEnvelope Generator(エンベロープジェネレーター)で作ったEnvelopeを渡すとすれば、かなり綺麗な、整った形のEnvelopeになるのが自然です。ですが、このADDAC401で作ったCVのEnvelopeは、オーディオのレベルを元にしているため、微妙にゆらぎのある、しかしながらEnvelopeと呼べないほどの崩れ方までにはならないCVになります。またそのCVはDECAYノブやENVELOPE GAINで整えたり変化させたりすることが可能です。これが、単調になりがちな音作りに、有機的な要素を加えることができるように感じました。
さらに、このADDAC401特有の8つのGate出力機能は、はじめ説明を読んだ段階では、どう使えばいいのかさっぱり分かっていませんでしたが、実際に使ってみると、オーディオのレベルが減衰しだすタイミングなどにGateを作ることが可能であり、そこからまた別のEnvelope GeneratorでEnvelopeを作り、それをモジュレーションに利用したり、エフェクトのDry/Wetに渡したりなど、実験的な使い方が色々とできるように感じます。
SidechainやAuto Wahといった、定番の使い方をするのも良いですし、モジュレーションやエフェクトと組み合わせて、どのような表現が可能なのかを色々探るのも楽しいモジュールなのだと気付かされました。Envelope Generatorを増やそうかななどと考えている方なんかは、実は代わりにこのようなEnvelope Followerがあると、新しい発見があるかもしれません。
技術仕様
- 幅: 8Hp
- 深さ: 45mm
- CV出力電圧: ±10V
- Gate入力電圧: 0〜5V(閾値: 2.5v)
- Gate出力電圧: 0〜5V
- 最大消費電力: 110mA +12V & 20mA -12V
付属品
- 電源用リボンケーブル
- ネジ
マニュアル
このモジュールには特にマニュアル等は用意されていません。
不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。
ADDAC Systemについて
ADDAC Systemはポルトガルのモジュラーシンセメーカーです。
アナログ良さを生かした、ベーシックな機能をしっかり形にしているモジュールラインナップを基本としつつも、CVをMIDIに柔軟にコンバートしたり、高度にコントロール可能なグラニュラープロセッサー等、デジタル技術もうまく調和させた独創的なモジュールも数多くリリースしています。
オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。
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