
Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、NoisyFruitsLabのKick V2の紹介/解説記事になります。Kick V2は、気の利いたコントロールを多く持つ808系キックドラムモジュールです。
本商品は、以下よりご購入頂けます。
Kick V2とは
NoisyFruitsLabからリリースされていた(といっても日本では販売されていませんでしたが)旧版V1に相当するキックドラムモジュール808 Kick Drumは、808のキックドラムをアナログ回路で再現させた上で、さらにピッチコントロールを追加したモジュールでした。
このKick V2はそのアップデート版で、以下が可能になっています。
- アクセントをCVでコントロール可
- ピッチをCVでコントロール可
- ピッチの時間的な変化をノブでコントロール可(ピッチ変化の深さ/Decay)
- ダイオードディストーション内蔵、ノブでコントロール可
小柄ながらも嬉しい機能を持ち合わせたキックドラムモジュールと言えるでしょう。
Kick V2のポイント
Kick V2は、808のキックをベースとしながらも、気の利いたパラメーター調整を備えているため、なかなかパンチの効いた音色を作り出せるところがポイントかと私の方では感じました。
まぁこの話は結局のところ好みの問題でしか無いのですが……というのを踏まえて以降書きますが、まず私個人は割とハードめなテクノを好んでいるので、909でも808でも、とりあえずディストーション及びそれに類する処理をかけるなどして使うことがほとんどです。とりたてて808は、オリジナルの音のままだと、他に色々と鳴っている場合には埋もれてしまいがちだったりするので、ディストーション系の処理はよく欲しくなります。というか大体キック用に別途用意しています。それがまず、このモジュールには元から付いています。ダイオードディストーション付きで、ノブを上げると音が歪みます。これが一つ便利な点。
そして、キックをより目立たせたい場合、時間に応じてピッチを変化させるというテクニックがよく使われます。これを極端にすると、音色がドンドンドンドンからピューンピューンピューンピューンという具合に(語彙力)変化するのですが、この塩梅をコントロールして、自分の欲しい音を探せるようになっているという実装が、このようなパーカッション系モジュールによく採用されています。この機能がKick V2には備わっています。ピッチの時間的な変化機能付き。これが二つ目の便利な点です。
上記2つの実装により、808のキックであるが、ちょっと909っぽくもある、そこそこパンチの効いたキックを作り出せるという印象です。このあたりは後述の参考動画でご確認頂ければ思います。
そして、キックのピッチをCVでコントロールできるというのも、モジュラーを普段使う人にとってはありがたい部分です。これが三つ目の便利な点。グルーヴボックス等ではそのような音色の変化は行いづらいかと思いますが、ピッチのCVにLFOやらEnvelopeやらを突っ込むことで、キックモジュールはキック以外の用途としても使うことができるという印象です。このような柔軟なパッチングが気軽にできるのはモジュラーシンセの面白いところだと思います。このピッチCV入力は1V/Octではありませんが、そこまでの精度を求めない場合には十分そうです。
そしてこのモジュールは幅4hp/深さ20mmコンパクトなので、薄いケースに入れやすいです。そんなわけで、808系キック、及びその派生が欲しい人にはかなり良い選択肢なのではないでしょうか。
そもそも、モジュラーでドラム類を鳴らすか、もしくはそのあたりはモジュラーシステムの外でやるのかという大きな分岐はまずあるかと思います。前者のシステムを組む人にとっては、このモジュールは検討に足る候補なのではと思います。
波形マークが点灯
パネル上部にある波形のあしらいは、裏にLEDがついており、ボリュームに応じて黄色に点灯します。見た目的にも楽しいモジュールです。(緑の方は808 Snare Drum)

参考動画
こちらはTakazudoがこのモジュールを鳴らしている動画です。各ツマミをいじったり、Accent(ACC)とPitchのCV(CV)にシーケンスを送ったりなどもしているので、動作のご参考にしていただければと。(同ブランドの808 Snare DrumとSproom DSPも使っています)
ほか、YouTube上のKick V2の参考になりそうな動画です。
その他仕様
- 幅: 4HP
- 深さ: 20mm
- 消費電力: +12V 9mA/-12V 9mA
付属品
- 電源用リボンケーブル
- ネジ
- バナナキーホルダー
- バナナステッカー

NoisyFruitsLabについて
NoisyFruitsLabはSamuel Biniaszczyk氏の運営する、ドイツのシンセサイザーメーカーです。小規模ながら高いクオリティのモジュールを多数リリースしており、氏の手掛けるモジュールの多くは、DIY用のパネル&PCBとしても販売しています。
オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。
パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!
Kick V2の紹介は以上になります。
Kivk V2は、NoisyFruitsLabよりはじめて入荷したモジュール群の中の一つです。TakazudoがNoisyFruitsLabの各種モジュールを販売させていただいた理由としては、はじめてモジュラーシンセを触る人でも理解が容易な、ひとえにシンプルで操作性が良い、丁度よいサイズのモジュールを紹介したかったという背景があります。Kick V2はまさにそういうモジュールです。
文中にも書きましたが、ドラム類をモジュラーシステムの中でやるのか、Roland TR-8みたいなグルーヴボックスの中でやるのかというのは人によって異なる部分かと思われます。ドラム類はそれ専用の機材でまとまっていた方が、パターンの管理もしやすいし便利という視点はあるでしょう。
Takazudoもつい最近まではiPadの中で一通りのリズムのパターンを組んで、それをMIDIコントローラーで制御するなどして使っていました。ですが、一つ一つをリアルタイムに、またCVでもコントロールしたいと考えた結果、今は結局モジュラーシンセのシステムの中でドラム類を鳴らす形に落ち着いています。
当然のことながら、そうするとモジュラーシステムがまたデカくはなるのですが、その分他のモジュラーとの親和性が増した感じはしているので、自分と同じようにドラム類をモジュラーで鳴らし、その中で808系のキックが欲しいと思った方にはおすすめしたいモジュールです。
ご参考になれば幸いです。