ADDAC System: ADDAC207 Intuitive Quantizer紹介

2024/03/07 Author: Takazudo

Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、ADDAC SystemのADDAC207 Intuitive Quantizerの紹介/解説記事になります。

ADDAC207 Intuitive Quantizerは、4ボイスの直感的な(intuitive)操作のクオンタイザーです。

こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。

ADDAC207の機能概要

このクオンタイザーは、非常に多くの機能を持っています。ひとまず、このADDAC207の機能を箇条書きで列挙します。そしてポイントとなる部分を絞り、追って突っ込んで詳解していく形とします。

  • 2種のモード(Keyboardモード/Quantizerモード)
  • gate入出力によるsampled&hold機能
  • カスタムスケールの定義が可能
  • コード生成のためのノート間オフセットの定義が可能
  • 3種のクオンタイゼーションタイプ設定が可能(Above、Below、Ignore)
  • gate出力の長さを設定可能
  • octaveのオフセットを設定可能
  • メニューの各種設定値をCVによりコントロール可能
  • Bohlen-Pierce等の5種の異なる音律を選択可能
  • octaveの比率を設定可能(1V/Octを0.5V/Octにするなど)
  • 設定したスケール等を11のユーザープリセットに保存可能

ADDAC207の魅力

私が考える、このADDAC207の素晴らしいポイントを3つほど挙げて紹介します。

1. 4ボイス

まずこのクオンタイザーを選ぶ人が求めている機能として必ず当てはまるであろう点として、複数のボイスを扱えるという点があるでしょう。ADDAC207は4ボイスまで扱うことが出来ます。

モジュラーシステムの中で複数のオシレーターを鳴らしたいと考えた時、ごく単純な構成を想定するとすれば、それぞれのオシレーターに渡すピッチをそれぞれクオンタイズする必要があります。ADDAC207であれば、その4つのクオンタイズをこのモジュール一つでまかなえるというところ。これがまず一つの便利な点と言えるでしょう。

当店で扱っているモジュールで言えば、RYK Modular: Vector Waveが、4つの1V/Octを受け取り、4つの音階にそれぞれ別のオシレーターを割り当てることのできる、マルチティンバーなオシレーターモジュールです。MIDIでもこの4ボイスを鳴らすことは可能ですが、アナログのCV入力により1V/Octをコントロールしたい場合、このADDAC207との相性はバッチリです。(4つの1V/Octを受け取るには別売りVector Wave Expanderが必要)

演奏する音楽の種類によってはそこまで音同士の調和が求められない場合もありますが、音階の異なる複数のオシレーターを調和させたい場合、このADDAC207のようなモジュールは特に有用です。

2. パフォーマンス向きのサイズ

2つ目のポイントとしては、個人的にはこのモジュールがパフォーマンスに適した大きさのインターフェースを備えているというところです。クオンタイザーの中には、2hpほどの省スペースな、とてもコンパクトなサイズのモジュールも数多く存在します。4ボイス欲しければそれを4つ並べても同じと言えば同じ。むしろそちらの方がコンパクトとさえ言えます。

ですがクオンタイザーの設定変更をパフォーマンスの一貫として行う場合、そのサイズのモジュールだと操作は困難でしょう。このADDAC207のボタン群は、クオンタイザーをパフォーマンスの中で随時操作するのに適したサイズです。

3. カスタムスケールとコード生成

3つ目のポイントは、容易にカスタムスケールや、コード生成のためのピッチ間オフセットを設定できるところです。クオンタイザーは持っているが、なんとなく好きなスケールを指定しておいて、そこにCVやらLFOやらを流し込んでぐらいで使っているという方は多いのではないでしょうか。

個人的にこのようなスケールをカスタムできるタイプのクオンタイザーの大きな魅力として、クオンタイザーを操作することで、ピッチとピッチのハーモニーを探っていけるというところがあると考えています。例えばCメジャーの中でも、CEGABに絞ると自分の好きなハーモニーが生まれやすいと気づいたり、ここで変化をつけるにはCDEAに切り替えるなどという具合です。

シーケンサーとクオンタイザーを使ってこのようなモジュラーの操作をすることは、これはまさにモジュラーシステムで演奏をしているのだという感覚を個人的には強く感じます。この体験を得るには2つ目と3つ目のポイントが重要です。

そもそもこのモジュールというのは、そういう使い方ができるようにデザインされていると私は感じるのですが、そんな直感的な(intuitive)と言う名前の通りのモジュールがこのADDAC207です。

複数のシーケンサーとこのADDAC207を組み合わせ、複数のVCOに個別の1V/Octを渡す。そしてそれぞれのAudio Outに別々のVCA/Filter+Envelopeをかけるなどすれば、大きく演奏の幅が広がることでしょう。

参考動画

以下は私の方でこのクオンタイザーを使ったセッション動画です。OXI ONEより4つのCVを受け取り、クオンタイズした1V/Oct出力を、Vector Waveに渡しています。CVはOXI ONE側で上げたり下げたりしていますが、それに合わせてクオンタイザーで有効なキーを随時変化させています。

技術仕様

かなり奥行きのあるモジュールです。ケースの深さご注意下さい。

  • 幅: 10HP
  • 深さ: 52mm
  • 消費電力: 最大+140mA/-70mA

付属品

  • フラットケーブル
  • ネジ

マニュアル

以下公式サイトにてマニュアルが公開されています。

ADDAC Systemについて

ADDAC Systemはポルトガルのモジュラーシンセメーカーです。

アナログ良さを生かした、ベーシックな機能をしっかり形にしているモジュールラインナップを基本としつつも、CVをMIDIに柔軟にコンバートしたり、高度にコントロール可能なグラニュラープロセッサー等、デジタル技術もうまく調和させた独創的なモジュールも数多くリリースしています。

電氣美術研究會

オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

電氣美術研究會

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。

パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!

ADDAC207 Intuitive Quantizerの紹介は以上になります。

このモジュールは、私がADDAC Systemを知るきっかけとなったモジュールでした。こんなクオンタイザーは無いものかと探していて、まさにというこのモジュールに出会いました。個人的にはクオンタイザーはモジュラーの中で最も好きな部類のモジュールであり、このADDAC207は特にオススメです。

ご参考になれば幸いです。