ADDAC System: ADDAC210 Open Heart Surgery紹介

2024/05/19 Author: Takazudo

Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、ADDAC SystemのADDAC210 Open Heart Surgeryの紹介/解説記事になります。

ADDAC210は、ユーロラック電子工作愛好家向け開発プラットフォームです。ブレッドボード、ポテンショメーター、スイッチ、ジャック等が一通りセットになったモジュールで、モジュールに備え付けられている各パーツへは、上部のポイントからアクセス可能。裏にはArduinoシールドをセットすることも可能で、ユーロラックモジュール開発を強力にサポートします。

こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。

商品写真

写真:商品表側

写真:商品裏側

写真:付属のアクセサリ

写真:付属品のブレッドボード

ADDAC210の概要

このモジュールは、ユーザーが開発を行うのをサポートするために作られたものです。モジュラーシンセサイザーの開発においては、デザインしたPCB基盤へ、各種パーツをはんだ付けして完成させるのが一般的ですが、そのように基盤を設計する工程の前に、部品同士を試しに接続して動作を確認するプロトタイピングをブレッドボードで行う開発者が多いです。

ブレッドボードを用いれば、はんだ付けをする代わりに、ジャンパーピンを用いて部品同士を手軽に接続することができるため、基盤設計の前に実際に動かしながらパーツ同士の組み合わせを確認することができます。そのようなプロトタイピングの際、モジュラーシンセで必ずと言っていいほど使われるポテンショメーターやジャック、LED等も併せて使うことになるわけですが、そういったパーツ群とブレッドボード、電源がセットになっているのがこのADDAC210というモジュールです。

モジュール下部には抵抗値の異なるポテンショメーター群、ジャック、LED、スイッチが用意されており、これらはモジュール上部のピンヘッダー群へと接続されています。裏側にはArduinoシールドを装着できるようになっており、これも同様に表側モジュール上部のピンヘッダへと接続されています。

このモジュールをモジュラーシンセのケースに装着して使ってもよいですし、このモジュールを切り離して使うためのスタンドも付属しています。

モジュラーシンセやArduinoの仕組みを理解し、開発……とまではいかなくても、そういった技術を学んでみたい方、本格的にモジュラーシンセの開発を行っている方にオススメしたい商品です。

ご購入に際しての注意

前述の通り本品は、一般的な演奏して楽しむタイプのモジュラーシンセサイザーでは無く、モジュラーシンセサイザーの開発を行うためのプラットフォームであり、使用に関しては、電子回路の知識が必要な商品です。ご購入に際しては、この点ご留意いただくようお願いいたします。

安全に関しての注意

本商品は、開発者自身がショートする回路を組んでしまった場合、このADDAC210を接続している電源、及びそのケース内に接続している他のモジュールに損害を与える可能性があります。この注意については、マニュアルの最初のページに注意が記載されているのですが、その内容はこの商品を扱う上でかなり重要なので、以下に翻訳を掲載いたします。内容を御理解の上、ご使用くださるよう、お願いいたします。

免責事項

当社は、本モジュールの使用中に発生した損害について、直接的、特別、付随的、または結果的損害(電源装置、他のモジュール、パーソナルコンピュータ、またはモジュール自体への損害を含むがこれに限定されない)について一切責任を負いません。 ご自身の責任でご使用ください!

安全上の注意事項

このモジュールを使用する際には、いくつか注意すべき点があります。ここでは簡単に説明しますが、要するに、何をしているのか分からない場合にはトラブルが発生します。しかし、何をしているのか分かっているつもりでもトラブルは起こるものです。

つまり、何かがうまくいかない場合、最良のシナリオでは、回路が何らかの理由で故障して単に動作しないだけですが、最悪のシナリオでは、回路が故障して動作せず、「ショート(短絡)」が発生して高負荷がモジュールを通り、接続された電源装置(PSU)から高い電流を引き出すことになります。これがすべてのミスがショートを引き起こすわけではありませんが、これは最悪のシナリオの例です。

ショートが発生すると、負荷が回路内のコンポーネントを通り、最終的にはPSUの限界まで電力を消耗します。PSUによって結果は異なるかもしれません。

当社(ADDAC System)のPSUは高品質のスイッチングPSUであり、短絡および過電流保護機能を備えているため、ショートが除去されるまで単にシャットダウンします。一方、トロイダルPSUを使用している場合は、動作電圧が低下し、物理的に可能な限りの電流を供給しようとします。これにより、同じPSUに接続された他のモジュールやPSU自体にも悪影響を及ぼす可能性があります。

では、常に安全を確保するにはどうすればよいでしょうか? 簡単です。「ミスをしない」ことです!簡単ですよね?経験上、最も学びがあったのは、何かを焼いたり、壊したり、煙を出したりした時です。ほとんどの場合、あまり集中していなかったので、常に気を抜かず、「災害」を防ぐために先を見越して考えるようにしましょう。

初めてエレクトロニクスに取り組む場合は、常に注意を払い、オフスイッチの近くに手を置いておきましょう!新しい回路接続や電源投入時には、ステータスLEDを注視してください!

基板やコンポーネントの温度にも注意を払いましょう。悪い回路設計の最初の兆候は熱です。何かが加熱している場合、それはおそらくすぐに焼けるでしょう。鼻の感度を高めましょう。通常、異臭がする時は既に遅いことが多いですが、煙が見えた場合、その部品は既に使えなくなっています。

Arduinoプラットフォームを独自に学んでいる場合やArduino側でのみ作業している場合は、モジュラーからOpen Heartを切り離しておきましょう。USB電源で安全に作業でき、他のミスを避けることができます。

以上、マニュアルP.3より引用

ADDAC210の機能一部紹介

マニュアルの画像を一部引用しつつ、このADDAC210のできることをかいつまんでご紹介します。

ポテンショメーター

前述の通り、モジュールの下部にたくさんスイッチやノブが並んでいますが、これらはモジュール上部のピンヘッダ群に接続されています。例えば左上のPOT 1/2POT 3/4POT 5/6とラベルしてあるピン群は、下部にある6つのポテンショメーターと接続されており、これらポテンショメーターを回路の一部に混ぜたい時は、ジャンパーをこれらピン群へと接続します。

図:ポテンショメーターの場所

図:ポテンショメーターの位置と端子の関係

図:ポテンショメーターの端子と対応するピン

これらポテンショメーターにはそれぞれ以下の異なる抵抗値を持っており、回路設計に便利に使えます。

  • 1: B1K
  • 2: B10K(logarithmic)
  • 3: B10K(linear)
  • 4: A100K
  • 5: B100K
  • 6: 1M

スイッチ&フォトセル

ポテンショメーターのピンの横にあるSPSTDPDTSPDTは、各種スイッチとフォトセルに接続されています。

図:スイッチとフォトセル

図:スイッチとフォトセルの端子と対応するピン

スイッチもポテンショメーター同様、異なるタイプのスイッチが用意されています。

  • 1 & 2: SPST, Off - On
  • 3: DPDT, On - On
  • 4 to 6: SPDT, On - Off - On

ジャック

ジャックも同様、上部のJACKSトラベルされたピン群に接続されています。左端のJACK 1だけステレオで、あとはモノラルジャックです。

図:ジャックの場所

図:ジャック端子と対応するピン

Arduinoサポート

裏側にはArudinoをさせるピンが用意されています。このピンは前項までに書いたように、表側にあるピンヘッダと接続されており、Arduinoシールドをセットすることが可能です。

写真:Arduinoを配置する箇所

図:Arduino端子と対応するピン

フロントパネルパーツ

このように、このモジュールに用意されているパーツ群が、表側にあるピンヘッダと接続されているというのが、このADDAC210です。以下が、このモジュールに備え付けられているパーツの一覧になります。

  • On/Off Power switch
  • 1x breadboard
  • 1x 1K Pots
  • 2x 10k Pot
  • 1x 100k Log Pot
  • 1x 100k Pot
  • 1x 1M Pot
  • 4x Leds
  • 1x Photocell
  • 2x SPST (normally open) push switches
  • 1x DPDT (on/on) toggle switch
  • 1x SPDT (on/on) toggle switch
  • 2x SPDT (on/off/on) toggle switches
  • 1x 3.5mm stereo jack
  • 5x 3.5mm mono jack
  • 1x 1/4inch mono jack

スタンド

このADDAC210はユーロラック3Uフォーマットのモジュールですが、付属のスタンドを付けることで、ケースから切り離しての開発も可能です。

写真:スタンドを付けた状態(表)

写真:スタンドを付けた状態(裏)

写真:固定用スペーサー

この形で開発できるように、通常の長さのリボンケーブルとあわせ、1メートルの長いリボンケーブルも付属しています。

また、このスタンドを固定するには、ワッシャー的なものでが必要なため、当店の方でオマケとして4つ、上記写真にある真鍮製のスタンドオフスペーサーを同梱致します。

技術仕様

  • 電源: -12V、+12V / -3/10V、+3/10V
  • 幅: 36HP
  • 深さ:35mm(Arduinoシールドを取り付ける場合はその分の深さが加算されます)

付属品

  • ネジ、ワッシャー
  • リボンケーブル
  • 1M リボンケーブル
  • デスクトップ操作用の55mmスタンドオフスペーサー
  • M3スタンドオフスペーサー(真鍮製: Takazudo Modularの方で追加同梱)

マニュアル

以下公式サイトにてマニュアルが公開されています。
ご使用の際には、マニュアルを参照しつつ、安全に注意してご使用くださるよう、お願いいたします。

ADDAC Systemについて

ADDAC Systemはポルトガルのモジュラーシンセメーカーです。

アナログ良さを生かした、ベーシックな機能をしっかり形にしているモジュールラインナップを基本としつつも、CVをMIDIに柔軟にコンバートしたり、高度にコントロール可能なグラニュラープロセッサー等、デジタル技術もうまく調和させた独創的なモジュールも数多くリリースしています。

電氣美術研究會

オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

電氣美術研究會

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。

パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!

ADDAC210 Open Heart Surgeryの紹介は以上になります。

こちらは、筆者Takazudoが最近Arduino入門キットみたいなものを買って、学習している時に、ADDAC Systemでこのような商品を販売していたのを見つけて注文しました。モジュラーシンセの楽しみ方は人それぞれですが、モジュールを自分でDIYしてみたり、仕組みを理解したり、自分で何かICやらを動かしてみたりするというのも、なかなか他では味わえない楽しみ方の一つだと感じています。

モジュールの開発や学習に、ぜひご活用いただければと思います。

ご参考になれば幸いです。