Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、ADDAC SystemのADDAC714 Vintage Clipの紹介/解説記事になります。
ADDAC714 Vintage Clipは、デュアルチャンネルのソフトクリッピングモジュールです。アナログ回路の組み合わせにより、心地の良いディストーション効果を生み出します。
こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。
ADDAC714 Vintage Clipの特長
ADDAC714 Vintage Clipは、ダイオードベースのパッシブクリッピングをコアとしたモジュールです。入力シグナルが一定のレベルを超えると、バッサリ音をクリップさせる、Brick Wallリミッターとして機能します。また、パッシブRCローパス回路により、高音を削る設計(3.3KHzの-3dbローパスフィルター)を組み合わせることで、特有の質感を作り出しています。
インターフェースの概要
このモジュールのパネルにあるノブは、以下の2つのステージのゲインをコントロールします。
- A: CLIPステージGAIN(上側のGAINノブ)
- B: OUTPUTステージGAIN(下側のOUTPUTノブ)
そして、パネル上部のBYPASSスイッチは、入力シグナルが、AのCLIPステージを通す(スイッチ上側)か通さない(スイッチ下側)かを切り替えます。
CLIPステージGAIN(A)は、クリッピングが適用される閾値をコントロールします。クリップされる割合が高ければ高いほど、クリップ後のシグナルの振幅は減少するため、クリップ後のボリューム調整を行う、OUTPUTステージGAIN(B)が用意されています。OUTPUTノブの横にあるCLIP LEDは、最終OUTの出力クリッピングを視認するためのものです。
パネル中央にあるSYMMETRYスイッチは、Bipolar Clipping/Positive Clippingの2つを切り替えるスイッチです。Bipolar Clipping(スイッチ上側)は、入力シグナルの正負の両方の極性に対してクリッピングを適用するのに対し、Positive Clipping(スイッ チ下側)は、入力シグナルの正の極性に対してのみクリッピングを適用します。得られる音の質感としては、Bipolar Clippingの方が、バッサリと完全にクリップされたような音を作るのに対し、Positive Clippingは、端的に言えばシグナルを半分だけクリップされた状態を作るので、クリップ感のある音を作りつつ、オリジナルのトーンも残したような印象の出力を生み出します。
基本的な使い方としては、上側のGAINノブを回して、クリップ具合をコントロールし、下側のOUTPUTノブで最終的なボリュームを調整するという形になります。
ADDAC714 Vintage Clipの使いどころ
このADDAC714 Vintage Clipの使い所は、音を潰したい時と言えるでしょう。同種のモジュールとして、同じADDAC SystemのADDAC712 Vintage Preがありますが、こちらの方が、よりハードに潰された印象の音を作り出すという表現が適切であるように思われます。
Vintage Preの場合、閾値を超えたシグナルを、徐々に弱めるという実装がされているのに対し、このVintage Clipの方は、一定以上の強さの シグナルはそこでバッサリと、それ以上の強さにはならないように止めてしまうという処理(Brick Wallリミッター処理)の違いがあります。この2つの処理の違いが、両者のモジュールの作る音の違いを生み出します。
デモ動画にて、このモジュールの作る音の質感を、Vintage Preの方と聴き比べ、サチュレーション/ディストーションの味わい深さを感じていただきたいです。
参考動画
以下動画では、このADDAC714 Vintage Clipの作り出す音の特徴をご確認いただけます。
以下は私の方で撮ったデモで、909系キックドラム+モノシンセモジュールであるPatching Panda: BD-Zに、このADDAC714 Vintage Clip、及び同社のADDAC712 Vintage Preを通しています。音の変化具合の参考にして頂ければと思います。
マニュアル
以下公式サイトにてマニュアル(英語のみ)が公開されています。