
Takazudoが趣味で作っているDIYシリーズ、zudo-block-60 Openの紹介記事になります。
zudo-block-60 Openは、必要最低限の構成でモジュールのマウントが可能な60HPユーロラック用フレーム。3Dプリントで作られたレールを使用、電源は非搭載でエンクロージャー無しですが、リーズナブル。サイドパネルとアルミ板フレームをネジで簡単に組み立て可能。モジュラーシンセ入門や、DIYしたモジュールのテストにも便利に使用可能です。
サイドパネルは長方形のAタイプ、もう少し斜めにレールを傾けることの出来る段差付きのBタイプの2種類からお選び頂けます。
本商品は、以下よりご購入頂けます。
商品写真



Aタイプ(長方形サイドパネル)



Bタイプ(段差付きサイドパネル)



zudo-block-60 Open について
モジュラーシンセを始める時に難しいと思われるのが、どのようなケースを始めに選ぶかです。もしも最初からそれなりの規模のモジュールを揃えようと考えているのであれば、大きいケースを選ぶのが最良の選択かと思われますが、初めて何か気になったモジュールをちょっと使ってみようかと思われるとき、その様な選択ができる人は滅多にいないでしょう。かと言って、モジュラーセンセの小型のケースであっても、割と値段がするものが多いです。そんなときに候補にしていただきたいのが、このzudo-block-60 Openです。
電源について
このケースには電源が内蔵されていないため、別途電源をご用意頂く必要があります。電源用のモジュールとして、以下の3つを国内で入手しやすいものとしてご紹介しておきます。
また、電源ってどう考えれば良いのかよく分からないという方向けに、以下コラムを別途用意してあります。こちらも併せてご参照頂けますと幸いです。
内容物

- 側面パネル: 2枚
- レール固定アルミパネル: 1セット
- ASAレール 30HP(152.5mm): 4本
- ASAバーナット 30HP(152.5mm/M3穴): 4本
- M5ネジ 14mm: 4本
- M5ネジ 40mm: 4本
- M5イモネジ 50mm: 2本
- M5ロックナット: 4個
- 1mm高ワッシャー: 4個
- 3mm高ワッシャー: 4個
レールについて

このzudo-block-60 Openのレールはプラスチック製であり、長所と短所があります。長所としては価格が安価であること。そして短所としては、摩耗しやすいことと、ネジを締めるのにドライバーが必要なこと。そして摩耗を防ぎ、長くお使いいただくために、ネジを強く締めすぎないこと。これらの点にご留意いただいてご使用をお願い致します。
ケースを作る際、結構難しいのがレールの価格です。モジュラーシンセのケースを作っているメーカーが購入している製造元から直接購入してみたり、自分で図面を書いて金属の切り出しの見積もりを取ってみたりなどしましたが、おそらく金属でしっかりしたレールを作るには、どうしてもある程度の価格がかかってしまいます。かといって、自分はスライド式のナットが好きではありませんでした。
なんとかならないかと色々試行錯誤する中、3Dプリンタでプラスチック製のレールを作ってみたところ、思いのほか使える感じに仕上がりました。これであれば価格的に圧倒的に安価であるため、調節を繰り返した末、このフレームキットとして販売することとしました。
このレール、特にバーナット部分について、プラスチック製ではありますが、割と色々工夫して調整しています。


まず、見ていただくと分かるように、バーナットの高さが、通常の金属製のバーナットよりもかなり高くなっています。これは、ネジをしっかりと固定できるようにするため、このような作りに落ち着きました。プラスチックは柔らかいので、金属のバーナットと同じ高さであれば、穴が削れ、あっという間にネジが固定できなくなってしまいます。
ほか、このネジ穴はわずかにM3ネジの直径よりも小さめに、なおかつ歪んだ形状の穴で作っています。これは、若干小さいネジ穴にネジをねじ込んでもらい、自然とネジ山が作られるようにするためです。その様な作りゆえ、手回し式のネジを使用する場合はねじ込むのにある程度の力が必要です。なので、このレールを使う場合は基本、ドライバーでネジを留めていただく必要がありますので、この点についてはご容赦ください。
プラスチックの素材も色々試した結果、ASA(アクリロニトリルスチレンアクリレート)を採用しました。素材が硬すぎる場合、ネジ穴を小さくするなどしてしまったら、まずネジが入らず、入ったとしてもネジ穴が削れてしまいます。かといって柔らかすぎてもすぐにネジがスッポ抜けてしまいます。そんなわけで色々試し、硬いながらもある程度の柔軟性があるASAが丁度良いという結論になりました。
バーナットのカラーは、上面/底面だけ白になっています。全部ブラックの方が締まる感じがしていましたが、いざ全部黒にしてしまうと、周囲が明るい環境でないとネジ穴がよく見えません。そんなわけで、上面/底面だけ白にして、ネジ穴が見えるようにしています。
レールの長さについては、もっと長くするのも試したのですが、プラスチックであるがゆえ、あまりに長いと、モジュールを触るとボヨンボヨンとレールが揺れ、素材の弾性が気になる様になってしまう結果になりました。このあたりは研究すれば改善出来る余地がありそうですが、とりあえず現状では60HPぐらいまでが丁度良いという結論になりまして、本品は60HPのサイズとしました。
組み立て手順
組み立てには以下の工具が必要なので、これらはご用意くださるようお願い致します。
- 六角棒レンチ(例: Amazon: 六角棒レンチ 9本組)
- スパナ 🔧(例: Amazon: ミニスパナセット)
- ペンチ(例: Amazon: ペンチセット)
- プラスドライバー 🪛(例: Amazon: ドライバーセット)
1. レールフレーム部分の作成
まず始めに、30HPのレールを2本くっつけ、60HPのレールを2本作ります。この2つは50mmのM5イモネジ(ねじ頭が無いネジ)で固定します。レールの下部にはM5ネジが入る穴がありますので、まず始めに六角棒レンチでイモネジを2cmほど差し込みます。
これが終わったら、別の30HPレールを手でイモネジにねじ込み、最後はペンチで固定しながら、スキマが無くなるように締めて完成です。



2. レール固定用アルミパネルの取り付け
60HPのレールが完成したら、レール固定用アルミパネルをレールの左右に取り付けます。この時、大きな長方形の穴があるパネルが内側に、穴がたくさん空いているパネルが外側に来るように配置し、40mmのM5ネジで固定します。
※ レールにはへりがありますあります。へりが外側に来る様に注意してください。

以下がレールに固定用アルミパネルを取り付けている様子です。
取り付けた後は、何かしらモジュールやブランクパネルを入れてみて、レールの傾きやレール間の高さを調整してください。レール固定用のアルミパネルのネジ穴には若干の遊びがあるため、レール間の高さは微調整可能です。
3. サイドパネルの取り付け
ここまでで、レールの左右にアルミパネルがついた状態になります。このフレームに、左右のパネルを取り付ければ完成です。
左右のパネルとレールの固定には、M5ネジ14mmを使用します。内側から、ネジのヘッド → レール固定パネル → 3mm高ワッシャー → 側面パネル → 1mm高ワッシャー → ナットの順になるようにM5ネジ14mmで各部品を通し、ナットでゆるめに固定。これを好きな場所2箇所について行います。フレームと側面パネルの間のスペースに、3mm高ワッシャーを置いておくイメージです。

これを左右両方で行い、フレームと左右パネルが固定された状態を作ります。
床など、平らな場所に箱を置き、左右パネルとフレームを固定しているネジの位置が左右で同じになるように位置を微調整、その後ナットをレンチで固定しながら、ネジを締めて固定します。この時、左右のパネルが床に対して斜めになってガタガタしないよう、側面パネルの下部が床にぴったり付いていることを確認します。
一連の組み立てを通してご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
組み立て手順の後半はzudo-block-40の組み立て手順とほぼ同じなので、併せてご参考下さい。
今後の予定

このzudo-block-60 Openは、zudo-block-60と各パーツ寸法が全く同じです。なので、底面と前後のパネルをつければそのままzudo-block-60になるので、アップグレード用にパネルを個別で購入できるようにする予定です。
ほか、色々作っていたら最終的に今、提供できるレールとして以下の3パターンあり、
- ASAレール + ASAバーナット
- ASAレール + 金属バーナット
- 金属レール + 金属バーナット
既存商品についても、当店ラインナップ的には安価なものの方が望ましいと思われたため、これまでのケースのラインナップも整理し直す予定でいます。
zudo-block-60 Openの紹介は以上になります。
ご参考になれば幸いです。