ADDAC System: ADDAC604 Dual Filter紹介

2024/02/03 Author: Takazudo

Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、ADDAC SystemのADDAC604 Dual Filterの紹介/解説記事になります。

ADDAC604 Dual Filterは、デュアルチャンネルマルチモードフィルターです。2つのチャンネルは、モノラルのフィルター2つ分として使うことができるだけでなく、ステレオのフィルターとして使うことも可能です。

こちらの商品は、以下よりご購入頂けます。

インターフェースの概要

ADDAC604 Dual Filterのインターフェースはシンプルです。

図:各部説明

2チャンネルそれぞれに、フィルターコントロール用の以下のノブがあります。

  • Cutoffノブ(CUTOFF
  • Resonanceノブ(RESONANCE

CutoffはCVによるコントロールが可能で、CVはパネル中央付近にあるCV INPUTより受け取ります。入力されるCVは、そのすぐ上にあるCUTOFF ATTENUVERTERでattenuate/invertすることができます。

AUDIO INPUTジャックに入力されたシグナルはフィルターに渡され、フィルターは以下3種類のフィルター処理を行い、それぞれ個別の出力ジャックを持ちます。

  • High-Pass filter(HIGHPASS
  • Band-Pass filter(BANDPASS
  • Low-Pass filter(LOWPASS

他、パネル最上部にあるスイッチは、オペレーションモード切替スイッチです。このスイッチは以下のように二つのモードを切り替えます。

  • 左: デュアルモノモード(DUAL MONO
  • 右: ステレオモード(STEREO

デュアルモノモードでは、2つのチャンネルはそれぞれ独立して動作しますが、ステレオモードでは、左チャンネルのCutoff制御は、左右両チャンネルのCutoffを同時にコントロールするようになります。

ステレオモード時、初期状態では、右チャンネルのCutoffノブは、左チャンネルにて設定されたCutoff周波数のオフセットコントロールとなります。ですが、モジュール背面にあるジャンパーを外すと、このオフセット機能は無効になり、ステレオモード時の右Cutoffノブは一切の反応を示さなくなります。

また、左チャンネルのINPUTCV INPUTは、右チャンネルのそれぞれにノーマル接続されており、右チャンネルのジャックに接続がない場合は、左チャンネルへの入力が右チャンネルにも流れます。

回路図

ADDAC604 Dual Filterの使い所

このADDAC604 Dual Filterは、モジュラーシステムにおいて、ベーシックなフィルターモジュールと認識するのが適切と言えるでしょう。何かスペシャルな機能が備わっているわけではありませんが、その音にはADDAC Systemのモジュールらしい、アナログみを感じます。

よくあるフィルターの使われ方

これは一般的な話ですが、フィルターというモジュールのよくある使われ方として以下のようなものが挙げられます。

  • トリガーに合わせてEnvelopeをCutoffのCVに入れ、VCA代わりに使う(LPF)
  • トリガーに合わせてほぼ同じEnvelopeをCutoffとVCAのCVに入れ、Low Pass Gateのように使う(LPF)
  • 長めのLFOをCutoffに入れて、長期的なゆらぎを与える
  • トラックやパフォーマンスのブレイクを演出するために、徐々にCutoffを開いたり閉じたりする
  • Resonanceを上げた状態でCutoffをコントロールし、スウィープ効果を得る
  • 簡易的なイコライザーとして使う

ステレオ効果を出す

ADDAC604 Dual Filterは左チャンネルへの入力が右チャンネルへノーマル接続されているため、モノラルのVCO出力を左チャンネルだけに入れたとしても、2つのフィルター出力結果を得られることになります。この時、左右のCutoffの変化の仕方に変化を与えたり、左右のResonanceを変えたりすることで、ステレオ感のある効果を作ることが可能です。

2つのフィルターをチェーンして使う

その他、片方のチャンネルの出力を、もう片方のチャンネルのINPUTに接続することで、2つのフィルターを併用するような使い方も可能です。例えばLPFをかけた後にHPFをかけることで、高周波数帯/低周波数帯2つのResonanceを個別にコントロールできるなど、使い方は色々考えられます。

サチュレーション/ディストーションと一緒に使う

個人的におすすめしたいのは、サチュレーションやディストーションと併用し、LPFをかけることです。Resonanceが強くかかった部分が取り立てて強く潰れることで、ハードなサウンドを生み出します。

同じADDAC Systemのラインナップとしては、以下がサチュレーション/ディストーションとして使えるモジュールです。

参考動画

以下動画では、このADDAC604 Dual Filterのフィルタの作るレゾナンス感をご確認いただけます。

マニュアル

以下公式サイトにてマニュアルが公開されています。

技術仕様

  • 幅: 6Hp
  • 深さ: 40mm
  • 消費電力: 70mA +12V/70mA -12V

付属品

  • フラットケーブル
  • ネジ

ADDAC Systemについて

ADDAC Systemはポルトガルのモジュラーシンセメーカーです。

アナログ良さを生かした、ベーシックな機能をしっかり形にしているモジュールラインナップを基本としつつも、CVをMIDIに柔軟にコンバートしたり、高度にコントロール可能なグラニュラープロセッサー等、デジタル技術もうまく調和させた独創的なモジュールも数多くリリースしています。

電氣美術研究會

オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

電氣美術研究會

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。

パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!

ADDAC604 Dual Filterの紹介は以上になります。

こちらはベーシックなフィルターモジュールですが、ほかのモジュールとどう組み合わせて使い、どうCVコントロールしようかと、色々考えて試行錯誤するのが、モジュラーシンセの楽しみの一つかと思います。

そのように組み合わせを考える時には、シンプルで特別な機能が付いているわけではなく、しかし必要なCVコントロールは備えているというのがまた、丁度良かったりもするのです。

フィルターが欲しいと思った時、ADDAC Systemの高品質なこちらのフィルターをぜひご検討下さい。

ご参考になれば幸いです。