OXI Coralの解説シリーズを始めます。
Takazudo Modularにて取り扱わせていただいているOXI Coralは、OXI Instrumentsが開発した8ボイスのマルチティンバーなポリシンセサイザーモジュールです。コンパクトな14HPのパネルに、10種類のシンセエンジン、独立したフィルターとエンベロープ、FX(コーラス・スペースリバーブ)、MIDI入力、8系統のCV入力などを詰め込んだ高機能なモジュールです。
OXI公式から「OXI CORAL チュートリアル」というシリーズ動画が公開されています。このシリーズではその動画に沿いながら、日本語で詳しく解説していきます。
Takazudo Modularではマニュアル等の日本語訳付きを作成し、公開しています。以下よりご参照下さい。
OXI Coralとは
OXI Coralは、最大8ボイスを同時に鳴らせるポリフォニックシンセサイザーモジュールです。1つのモジュールで8つの独立したシンセボイスを持ち、それぞれに異なるエンジンやMIDIチャンネルを割り当てることができます。
基本的な使い方として、すべての8ボイスをMIDIチャンネル1に割り当てた「8ボイスのポリシンセ」として動作させることができます。電源を入れた直後の初期状態がまさにこの設定です。MIDIシーケンサーやキーボードからチャンネル1でノートを送れば、すぐに音が鳴ります。
パネル中央のLEDリングは、デフォルトではアクティブな各ボイスのアンプ(VCA)レベルを視覚的に表示します。コードを弾くと複数のLEDが点灯し、ボイスが使われている様子が一目で確認できます。
センターエンコーダー
パネル中央にあるプッシュエンコーダー(ロータリーエンコーダー+ボタン)は、OXI Coralの操作の要となるコントロールです。
エンジンの選択
エンコーダーを回すことで、選択中のボイス(またはパート)のシンセエンジンを変更できます。OXI Coralには以下の10種類のエンジンが搭載されており、エンコーダーを回すたびに順番に切り替わります。
選択中のエンジンはLEDリングのピンク色のLEDで示されます。エンジンを切り替えると、そのボイスの音色が即座に変わります。
エンコーダーのその他の機能
エンコーダーを押しながら回すことで、ボイスやパートの選択画面に切り替わります。デフォルト状態(全ボイスが同じMIDIチャンネル)では、個別のボイスを選択して操作することができます。
エンコーダーのタップ(短押し)は以下のビュー切り替えに使います。
- Main ビュー: デフォルトのアンプ表示
- Load / Save 画面: プリセットの読み込みと保存
- CV Assign 画面: CV入力のアサイン設定
また、エンコーダーを押しながらノブを回すことで、各ノブのセカンダリーパラメーターにアクセスできます。この操作は後述のセカンダリーコントロールで詳しく説明します。
プライマリーコントロール
パネルの各ノブにはメイン(プライマリー)パラメーターが割り当てられています。ノブを回すだけで操作できる基本的なコントロールです。
エンジンパラメーター(Harm / Oct / Timbre / Morph)
パネル上部の4つのノブが、選択中エンジンのサウンドパラメーターです。
- Harm: 選択エンジンの第1パラメーター。エンジンによって役割が異なる(Virtual Analogではハーモニクス量など)
- Oct(Base Octave): サウンドのベースオクターブ。入力されるMIDIノートまたはCV Pitchのオフセットとして機能する
- Timbre: 選択エンジンの第2パラメーター
- Morph: 選択エンジンの第3パラメーター
フィルター(F.env / F.reso)
- F.env(Filter Envelope): モジュレーションADSRエンベロープがフィルターカットオフ周波数に影響する量。12時位置で0%、右に回すと+100%(フィルターを開く方向)、左に回すと-100%(フィルターを閉じる方向)
- F.reso(Filter Resonance): フィルターのレゾナンス量とドライブ量をコントロール
モジュレーションADSRエンベロープはデフォルトでフィルターカットオフにリンクされています。エンジンの種類によっては、サウンドそのものにも影響を与えることがあります。
エンベロープ(Amp Atk / Amp DR / Sust / Mod Atk / Mod DR)
5つのノブがアンプエンベロープとモジュレーションエンベロープを制御します。
- Amp Atk(Amplifier Attack): アンプADSRエンベロープのアタックタイム
- Amp DR(Amplifier Decay/Release): アンプADSRエンベロープのDecayとReleaseタイム(同一ノブ)
- Sust(Sustain): アンプとモジュレーションの両エンベロープのサステインレベルを同時に制御
- Mod Atk(Modulation Attack): モジュレーションADSRエンベロープのアタックタイム
- Mod DR(Modulation Decay/Release): モジュレーションADSRエンベロープのDecayとReleaseタイム
Sustainは両エンベロープ共通のコントロールになっている点に注意が必要です。
セカンダリーコントロール
各ノブにはセカンダリーパラメーターが割り当てられています。エンコーダーを押しながらノブを回すことでアクセスできます。
各ノブのセカンダリーパラメーターは以下の通りです。
エンジンノブ群のセカンダリー:
- Harm → MIDI: 対象ボイスのMIDIチャンネルを設定
- Oct → Freq(Base Frequency): ベース周波数の微調整。12時位置でデチューンなし、右で+100%、左で-100%
- Timbre → Noise: ホワイトノイズ内部ソースのレベル。ボイスレベルとは独立して機能するため、独立したノイズソースとして利用できる
- Morph → Send(Delay): ディレイエフェクトへのセンド量(設定でディレイが有効な場合)
フィルターノブのセカンダリー:
- F.env → Chorus: コーラスFXエンジンへのセンド量
- F.reso → Level: 最大振幅レベル。ボイスの出力音量の上限を設定
エンベロープノブのセカンダリー:
- Amp Atk → Space: SpaceリバーブFXへのセンド量
- Amp DR → Pan: ステレオパンの設定(コンスタントパワーパンロー)
- Sust → CV Attenuator(Harm CV): harmCV入力のバイポーラアッテネーター量を設定
- Mod Atk → CV Attenuator(Timbre CV): timbre CV入力のバイポーラアッテネーター量を設定
- Mod DR → CV Attenuator(Morph CV): morph CV入力のバイポーラアッテネーター量を設定
エンベロープ5ノブのセカンダリー機能として、各ノブの直下にある対応CV入力のバイポーラアッテネーターとして機能します(Amp Atk → atkdec CV、Amp DR → filter CV、Sust → harm CV、Mod Atk → timbre CV、Mod DR → morph CV)。
フロントパネルのトリガー入力は、選択中のパートのすべてのボイスのアンプとモジュレーション両エンベロープをトリガーします。これにより、CVピッチ信号と組み合わせてモジュラーシンセのパッチからCoralを直接コントロールできます。
MIDIチャンネルの変更
OXI Coralのボイスが使用するMIDIチャンネルは、Harmノブのセカンダリーパラメーター(MIDI)で変更します。
特定のボイスだけを別のMIDIチャンネルに割り当てることで、同じモジュール内で複数の「パート」を作成できます。例えばボイス1をチャンネル2に割り当てると、チャンネル1のコード演奏とは独立してボイス1をチャンネル2から制御できるようになります。パートの詳細な仕組みについては次回以降のエピソードで解説します。
パラメーターのキャッチアップ
OXI Coralのノブは、プライマリーとセカンダリーの2つのパラメーターを持っています。このため、ノブの物理的な位置とパラメーターの実際の値が一致しないケースが発生します。
値の不一致が起きている状態でノブを動かすと急激な変化が生じるため、OXI Coralは「キャッチアップ」という方式でこれを防いでいます。ノブを動かしても、保存されている値にノブ位置が「追いついた」時点で初めてパラメーターが変化します。
プライマリーパラメーターの場合、LEDがそのパラメーターセクションの色で現在の保存値の位置を示し、ノブの現在位置は白色で表示されます。セカンダリーパラメーターの場合は、保存値が白色、ノブ現在位置がオレンジ色で表示されます。
具体的な例として、Timbre(プライマリー)が最大値に設定されている状態で、Noise(Timbreノブのセカンダリー)が最小値に設定されている場合を考えます。この状態でNoiseを調整しようとノブを操作しても、ノブ位置がNoiseの保存値(最小値)に追いつくまではNoiseは変化しません。
同様に、リバーブ(Space)のセンド量を上げたい場合でも、フィルターカットオフのノブ位置がSpaceの保存値に追いつくまで待つ必要があります。一度キャッチアップが完了すれば、その後は通常通りパラメーターを操作できます。
このキャッチアップ方式は電源投入時にも適用されます。モジュールを起動した直後は、前回保存されたパラメーター値とノブの物理位置が一致していない場合があるため、最初は各ノブがキャッチアップするまでの間はパラメーターが動かないことがあります。
ヒント
- 最初は1パートで使う: マルチパート機能は強力ですが、まず全8ボイスをチャンネル1で使う状態から始めるのが最もスムーズです。基本操作に慣れてからパート分割に挑戦しましょう
- LEDリングでボイスを把握: メインビューではLEDリングの各ポジションがそれぞれ1〜8のボイスに対応し、アンプレベルを表示します。コードを弾きながら何ボイス使っているかを視覚的に確認できます
- キャッチアップを活用: プライマリーとセカンダリーを素早く切り替えるため、まずは片方に慣れてから、もう一方のパラメーターに触れるようにすると混乱が少なくなります
EP.1はここまで。今回はOXI Coralのパネルコントロール全体と、MIDIの基本的な使い方を解説しました。EP.2以降では、マルチパートの設定方法や各シンセエンジンの詳細な使い方を解説していきます。
Takazudo感想としてはまず、Coralは1パートで使うのはオススメしたい点だと思います。モジュラーシンセのセットアップですと、単純に2音以上をならすのはまぁまぁ面倒なことが多いため、単純に和音を手軽にならせるというだけでも結構重宝するモジュールという気はします。
そしてこのCoralは高機能ではありますが、インターフェース的にはノブやジャックの数が限られているため、是非このガイドを見つつ、操作を理解して頂ければと思います。この手の操作をマニュアルを見て理解するのはなかなか大変なので……。キャッチアップ機能も、もしご存じなかった方であれば、おおこうなるか便利……!と感じられるかと思います……!
OXI Coral 商品詳細
OXI CoralはホワイトとブラックのカラーバリエーションをTakazudo Modularにてお取り扱いしています。

