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OXI Coral 解説 EP.5: ボイスセットアップとマルチティンバー

ガイド: OXI Coral 解説 EP.5: ボイスセットアップとマルチティンバー

著者: Takazudo | 作成: 2026/04/13

OXI Coralガイドシリーズ EP.5です。今回はボイスセットアップとマルチティンバーについて解説します。

Coralの8つのボイスに異なるMIDIチャンネルを設定することで、それぞれを独立したパートとして扱えます。今回参照する動画では、OXI Instrumentsの担当者がCoralを実際に演奏しながら、コードのパターンを起点にベース、ドラム、リードメロディーを段階的に追加し、マルチティンバーのジャム演奏セットアップを組み上げていきます。本記事では、この動画の流れを追いながら、各ボイスへのMIDIチャンネルの割り当て方、パート単位のサウンドメイク、CVモジュレーションの割り当て方、SDカードへの設定の保存・読み込みまでを解説します。

Takazudo Modularではマニュアル等の日本語訳付きを作成し、公開しています。以下よりご参照下さい。

マルチパート構成の考え方

Coralでは、同じMIDIチャンネルに設定されたボイスが1つのパートとしてグループ化されます。デフォルト状態では8つのボイスすべてがMIDIチャンネル1に割り当てられているため、パートは1つだけです。

あるボイスを別のMIDIチャンネルに変更すると、新しいパートが自動的に作成されます。たとえば、Voice 1をMIDIチャンネル2に変更すると、「チャンネル2のVoice 1」と「チャンネル1のVoice 2〜8」という2つのパートが生まれます。各パートは独立したエンジン設定やエンベロープ、エフェクト量を持てるため、1台でベース、コード、ドラム、リードといった複数の音色を担当させることができます。

動画のデモンストレーションは、8ボイスすべてがMIDIチャンネル1に割り当てられたデフォルト状態のまま、コードのパターンを鳴らすところから始まります。コードはMIDIチャンネル1で受信されており、8ボイス全体でポリフォニックに発音している状態です。ここから各ボイスに段階的にMIDIチャンネルを割り当て、新しいパートを追加していきます。

ボイスの選択とパートの作成

ボイスを選択する

エンコーダーを長押ししながら回すと、ボイスの選択が切り替わります。LEDリングの表示がボイス選択の状態を示します。

Voice 1 が選択されている状態(青みがかった色で点灯)

ここで使われる色の意味は以下の通りです。

  • 青みがかった色(ターコイズ): 個別のボイスが選択されている
  • 緑がかったターコイズ: パート全体が選択されている
  • すべてのLEDが点灯: 全ボイスが選択されている(デフォルト状態)

MIDIチャンネルを変更する

ボイスを選択したまま(エンコーダーを押したまま)、harm/midiノブを回すとMIDIチャンネルを変更できます。このノブはプライマリーパラメーターとしてharmを、セカンダリーパラメーターとしてMIDIチャンネルを制御します。エンコーダーを押したまま操作することで、セカンダリーのMIDIチャンネル設定が有効になります。

MIDI Channel 2 が設定されている状態(オレンジ色で表示)

ノブを回して目的のMIDIチャンネルを選んだら、エンコーダーを離します。これでVoice 1に新しいMIDIチャンネルが割り当てられ、新しいパートが作成されます。

ベースパートの作成

動画では、ベースラインを追加するためにVoice 1を選択し、MIDIチャンネル2に設定しています。これにより以下の2つのパートが生まれます。

  • パート1: Voice 2〜8(コード用、MIDIチャンネル1)
  • パート2: Voice 1(ベース用、MIDIチャンネル2)

エンコーダーを押したまま回すと、全ボイス選択パート選択個別ボイス選択の順に移動します。パート選択状態では、LEDが緑がかったターコイズ色で点灯し、そのパートに属するボイスを示します。

全ボイスが選択されている状態(デフォルト)

ベースサウンドの調整

ベースパート(Voice 1)を選択した状態で、エンジンやパラメーターを調整してベースらしいサウンドを作っていきます。デフォルトではコード用と同じ設定になっているため、動画では以下の変更を加えています。

  • リバーブを除去: spaceノブを下げてリバーブのセンド量を0にする
  • フィルターを開く: フィルターのカットオフを上げてサウンドを明るくする
  • アタックを短縮: amp atkノブでアタックタイムを短くしてベースらしいレスポンスにする
  • エンジンを変更: エンコーダーを回して別のエンジンに切り替える

各パラメーターはノブ位置と保存されている値が異なる場合があり、一度ノブを動かして「追いつき(キャッチアップ)」を完了させてから変更が反映されます。

ドラムパートの追加

続いて動画では、ドラムパートを追加しています。ここでは3つのボイスをドラム専用に設定しています。

  • Voice 8: キック(MIDIチャンネル8)
  • Voice 7: スネア(MIDIチャンネル7)
  • Voice 6: ハイハット(MIDIチャンネル6)

それぞれのボイスに対して、エンコーダーを押しながら回してボイスを選択し、harm/midiノブでMIDIチャンネルを割り当てます。

キックサウンドの設定

Voice 8(キック)を選択して、動画では以下のように設定しています。

  • エンコーダーを回してKick Modelエンジンに変更する
  • spaceノブでリバーブを0にする(キックはドライな音が基本)
  • フィルターのカットオフを最大まで上げる
  • octノブでオクターブを調整する
  • tuneノブで音程を微調整する
Voice 8 を選択(キック用)

スネアとハイハットの設定

スネア(Voice 7)とハイハット(Voice 6)も同様の手順で設定します。

スネア(Voice 7):

  • Snare Synthエンジンに変更する
  • harmノブでハーモニック成分とノイズ成分のバランスを調整する
  • mod drノブで内部エンベロープのディケイを調整する

ハイハット(Voice 6):

  • Hi Hat Synthエンジンに変更する
  • フィルターのカットオフを最大まで上げる
  • octノブでオクターブを調整する
Voice 6、7、8 をドラム用に設定(ハイハット、スネア、キック)

ドラムの各エンジン(Kick Model、Snare Synth、Hi Hat Synth)は、mod drノブで内部エンベロープのディケイを制御できます。この値がドラムサウンドの長さと特性に大きく影響するため、各エンジンに合わせて調整します。

MIDIによるCCモジュレーション

各パートはMIDIチャンネルで識別されるため、外部シーケンサーからCCメッセージを送ることで、各パートのパラメーターを個別にコントロールできます。CCメッセージはMIDIチャンネルでフィルタリングされ、同じMIDIチャンネルのパートに適用されます。

動画では、スネア(チャンネル7)にCC自動化を仕込み、リバーブのセンド量をリアルタイムでコントロールして見せています。CCはユニポーラで、ノブの現在値を上書きします。

リードメロディーの追加

最後に、動画ではリードメロディー用のパートを追加しています。Voice 5をMIDIチャンネル3に設定します。

Voice 5 を選択(リードメロディー用)

動画でのリードサウンドの作り込みは以下の通りです。

  • エンコーダーを回してエンジンを変更する(2 OP FMやWaveshapingなど)
  • spaceノブでリバーブのセンド量を適度に追加する
  • chorusノブでコーラスエフェクトを加えてサウンドを広げる

これで、以下の6つのパートが揃います。

パートボイスMIDIチャンネル
コードVoice 2〜4チャンネル1
ベースVoice 1チャンネル2
リードVoice 5チャンネル3
ハイハットVoice 6チャンネル6
スネアVoice 7チャンネル7
キックVoice 8チャンネル8

CVモジュレーションの割り当て

CVモジュレーションを特定のパートに割り当てるには、CV Assignスクリーンを使います。

CV Assignスクリーンへのアクセス方法は以下の通りです。

  1. メインビュー(voice status)から、エンコーダーを3回素早くタップする
  2. Load/SaveスクリーンとCV Assignスクリーンの順に表示が切り替わる
  3. CV Assignスクリーン(紫色)に入ったら、エンコーダーを回してCVモジュレーションの影響を受けるパートを選択する
  4. もう一度タップして確定する

動画では、リード(Voice 5、チャンネル3)を選択してCV Assignを確定し、CV入力によるtimbreパラメーターのモジュレーションがリードパートのみに効く様子を見せています。

CV Assignスクリーンはエンコーダーを3回タップするたびに、メインビュー→Load/Save→CV Assignの順に切り替わります。Part CV入力に電圧が印加されている場合、CV Assign画面の設定はPart CVによって上書きされます。

SDカードへの保存と読み込み

作成したマルチパートの設定はSDカードに保存できます。

保存

  1. エンコーダーを2回タップしてSave画面に入る
  2. エンコーダーを回して保存先のスロットを選択する
  3. もう一度タップして確定する

読み込み

  1. エンコーダーを1回タップしてLoad画面に入る
  2. エンコーダーを回して読み込むスロットを選択する
  3. タップして確定する

ヒント

  • シンプルから始める: 最初から多数のパートを作ろうとせず、まず2パート(コード + ベースなど)で操作に慣れてから増やすことが推奨されています
  • MIDIチャンネルでパートを管理: パート1〜8のMIDIチャンネル(1〜8)を外部シーケンサーのトラックと対応させることで、直感的なコントロールが可能になります
  • ドラムエンジンのmod dr: ドラム専用エンジン(Kick Model、Snare Synth、Hi Hat Synth)では、mod drノブが内部エンベロープのディケイを制御します。このパラメーターがサウンドの長さと特性を大きく左右するため、最初に調整する値として重要です
  • Voice/Part Resetで初期化: すべてのボイスをMIDIチャンネル1に戻すには、エンコーダーを5秒以上押し続けるとリセットできます(赤色のLEDアニメーションが表示される)