Weston Precision Audio: SV1 Dual / Stereo Voltage Controlled Amplifier

Takazudo Modularにて取り扱わせて頂いている、Weston Precision AudioのSV1 Dual / Stereo Voltage Controlled Amplifierの紹介/解説記事になります。
Weston Precision Audio SV1は、デュアル構成のアナログVCAモジュールで、クリーンとヴィンテージの2系統の回路を各チャンネルに搭載。高精度なゲイン制御とサチュレーション効果の両立を実現し、ゼロクロス検出やステレオリンク機能、オーバードライブスイッチなど充実した機能を12HPに凝縮。直感的な操作性と多用途な出力設計により、ユーロラック内のダイナミクス処理に柔軟性を提供します。
本商品は以下よりご購入頂けます。
- 商品写真
- デュアル回路設計
- ステレオリンクとクリックノイズ低減
- ゲインとバイアスの調整
- オーバードライブとクリップインジケーター
- ユースケースと応用性
- Takazudo的所感
- 参考動画
- 技術仕様
- 付属品
商品写真




デュアル回路設計
SV1は各チャンネルに2種類の異なるVCA回路(“Vintage”と“Clean”)を搭載しており、音色に応じた柔軟な選択が可能です。Vintage回路はトランジスタベースで倍音豊かなキャラクターを持ち、Clean回路はより正確でクリーンなゲイン制御を提供します。両回路の出力は同時に使用可能で、異なる質感を併用したルーティングやミックス処理も容易です。
ステレオリンクとクリックノイズ低減
CH1とCH2はステレオリンク可能で、CH1のコントロールでCH2も操作できるモードを搭載。ステレオ音源に対して同一のエンベロープやCVを適用する際に便利です。また、ゼロクロス検出機能により、高速なゲイン変化時でもクリックノイズを抑制。特にエンベロープの立ち上がりが鋭いパッチにおいてその効果を発揮します。
ゲインとバイアスの調整
各チャンネルにはCVアッテネーターとバイアスノブを装備。CVアッテネーターは最大200%(2倍)までのゲインを設定可能で、センター位置がユニティ(100%)ゲインとなっています。バイアスノブにより、CV信号がゼロでも一定のゲインを維持可能で、モジュール単体でのレベルブーストやベースラインのボリューム調整などにも活用できます。
オーバードライブとクリップインジケーター
オーバードライブスイッチをオンにすることで、入力信号に6dBのゲインを追加可能。内部回路は十分なヘッドルームを持たせており、意図的に歪ませる表現や、入力信号の密度を高める用途に有効です。また、入力と出力それぞれに独立したクリップインジケーターLEDを搭載し、視覚的に信号レベルを把握することができます。
ユースケースと応用性
SV1は単体のVCAとしてだけでなく、ステレオソースのボリューム調整、クリーンとサチュレーションの並列処理、サイドチェーン風エフェクトの構築、CV信号のゲート処理など、非常に多用途な使い方が可能です。特に2種類のVCA出力を活用したパラレルミックスや、ゼロクロス機能を活かしたクリックレスなモジュレーションは、ライブパフォーマンスや複雑なパッチングにおいて強力な武器となります。
Takazudo的所感
このVCAは、機能的にははっきり言って地味なモジュールと言えると思います。モジュラーをやっていると、何かしらそれだけでカッチョイイ音が出そうなモジュールが欲しくなるかもしれません。そういう意味では、これはVCAなんでそういうものでは無いです。ですが、このモジュールはこれ一つでVCA周辺の欲しい機能が色々凝縮されていまして、おそらくケースに並んでいたら、頻繁に使うことになる人は多いのでは無いかと思います。
アナログ回路的サチュレーション効果
ポイントの一つ目がアナログ回路によるサチュレーション/オーバードライブ効果です。ミキサー系モジュールはこの性質を持つものが多くあり、当店でも同様の性質を持つモジュールを多く扱っています。以下がその一覧です。
- ADDAC System: ADDAC802 VCA Quintet
- ADDAC System: ADDAC713 Stereo Discrete Mixer
- ADDAC System: ADDAC712 Vintage Pre
- ADDAC System: ADDAC714 Vintage Clip
- AI Synthesis: AI022 Harmonic Mixer
- AI Synthesis: AI106 West Coast Mixer
これらモジュールと同様、このSV1も、何かしらシンプルなVCOの出力を入れると、オリジナルのオーディオシグナルを歪ませ、倍音成分を増やす効果が得られます。Overdrive
スイッチが用意されている点もまた、このモジュールはサチュレーションなんだぞという意図を感じさせます。
このモジュールは、そんなサチュレーション効果を得る回路の他、クリーンな出力を得るVCA回路も同時に用意しているのも便利なところです。元の音の雰囲気を崩したくないとき、ハードにしたい時でもちゃんと分けて使えるということです。実際にモジュールと戯れているときは、どちらの出力が望む結果に近いかを体感出来ることと思います。
クリックノイズ回避機能
ゼロクロス検出のクリックノイズ回避も嬉しい機能です。これなんですが正直私Takazudoは、なにかベース的な音を扱っているとき、プツプツクリックノイズが混ざってくることがあるのは認識していたんですが、理由や対処方法が良く分かっていませんでした。
理屈としては、サイン波みたいな、比較的クリーンで柔らかめな波形が突然オフになると、波形が一瞬で大きく変化するため、それがクリックノイズに近い出力になってしまうというものです。なぜこのような現象に遭遇するかというと、モジュラーシンセではそういう生の波形をダイレクトに扱う機会が多いからというのが一つ言えるかと思われます。このVCAはこの問題の解決をしてくれます。
融通の利くBiasノブ
Bias
ノブによる、レベルコントロールの補助も嬉しい機能です。
こういったVCAは、以下のようなEnvelope Generator(エンベロープジェネレーター)やLFOなんかと組み合わせ使うことになりますが、このBias
ノブは、その最低レベルを調整するものです。
例えば緩やかに減衰するエンベロープをこのVCAに接続した場合、徐々にBias
を上げていけば、下がりきらずに余韻を残した音を得ることが出来ます。
高品質VCA
モジュラーシンセで何かしらシステムを組む場合、シンセの音であればローパスゲートやフィルターを使うことも多いかと思われます。モジュールの種類としてもローパスゲートは色々なバリエーションがあり、例えば当店でも以下の2つのモジュールを扱っています。
そんなローパスゲートも音や利便性として魅力的ですが、そのようにローパスゲートが豊富だからこそ、VCAとして何か良いモジュールが無いかなと思ったとき、選択肢が悩ましいということがあります。そんな時に是非候補にしたいモジュールです。
参考動画
以下はWeston Precision Audio公式のSV1の紹介動画です。一通りの機能を解説してくれており、2系統のVCA回路の違いも波形で確認可能です。
技術仕様
- 幅: 12HP
- 深さ: 33mm
- 消費電力: +12V: 75mA / -12V: 70mA / +5V: 0mA
付属品
- 電源用リボンケーブル
- ネジ
- Weston Precision Audioステッカー
Weston Precision Audioについて
Weston Precision Audioは、アナログ設計に特化したモジュールメーカーであり、創設者のDevin Westonが手がける製品は、その直感的で使いやすいインターフェースが特徴です。
こだわりを感じるパネルやパーツ、一つ一つ丁寧にビルドされたモジュールには重厚さと高級感が感じられ、確かな品質のアナログモジュールを求めている方に是非おすすめしたいブランドです。
オマケ: 電氣美術研究會モジュラー小物セット付き

モジュラーシンセをもっと多くの方に触って欲しいという願いの元、電氣美術研究會さまにご協力頂き、モジュラー小物セットを本商品にバンドルさせて販売させていただいております。
パッチケーブルや電源ケーブル、ドレスナットのサンプルセット、モノラルスプリッターなど、内容は時期に応じて変化します。商品に同梱しますので是非お試し下さい!
SV1 Dual / Stereo Voltage Controlled Amplifierの紹介は以上になります。
ご参考になれば幸いです。